連載:プロ野球「2022年、期待の外国人選手」

パ・リーグ新外国人「期待度ランキング」1位はMLB本塁打王並みのパワーの持ち主

宇根夏樹

稲葉GMとともに入団発表に臨んだ日本ハムの4人の新外国人選手(左からガント、ポンセ、アルカンタラ、ヌニエス)。この中の誰が何位に? 【写真は共同】

 今季、NPB初参戦となる新外国人選手のうち、1年目から活躍が見込めるのは誰か。アメリカ野球に精通する宇根夏樹氏に、これまでの実績や近年のパフォーマンスに、環境への適応力、所属球団のチーム事情なども加味して、特に期待できる10人の選出と順位づけをしてもらった。セ・リーグ編に続き、今回はパ・リーグ編をお届けする。

10位:ゲレーロ(ロッテ/投手)

南米コロンビア出身の剛腕リリーバー。昨年は井口監督の古巣であるホワイトソックスの傘下、3Aシャーロット・ナイツでプレーし、防御率6.63ながら奪三振率は11.8を記録した 【写真は共同】

 2メートルを超える長身から、最速104マイル(約167.3キロ)の4シームを投げ込み、スライダーと組み合わせる。2シームとチェンジアップもあるが、これまではあまり用いていない。

 難点は制球。マイアミ・マーリンズに在籍し、メジャーで各50登板以上の2018〜19年は、与四球率4.66と7.04。シカゴ・ホワイトソックスの3Aで18登板の昨年も、19.0イニングで12人を歩かせた。打者をねじ伏せる力を持つ一方で、四球を連発する危険性も低くない、典型的な荒れ球のハードボーラーだ。当たりか外れか、どの登板も投げてみるまではわからない。

9位:マルモレホス(楽天/外野手)

昨季は3AでリーグのMVPに選出された。メジャーには20年にデビューし、過去2年で計10本のホームランを打っている 【写真は共同】

 3Aの成績は右肩上がり。2018年は8本塁打&出塁率.319に過ぎなかったのが、19年は16本塁打&出塁率.367と向上し、マイナーのシーズンが中止となった20年を挟み、昨年は26本塁打&出塁率.439を記録した。3Aの出場試合は年々減っているにもかかわらず、本塁打は増え続けている。18〜19年は7パーセント台前半だった四球率も、21年は15パーセントを超えた。楽天ではレフトかライトに定着し、25本塁打以上も夢ではない。

 ただ、外野の候補は多く、一塁とDHも空いているわけではない。出足でつまずくようだと、常時出場とはいかず、本領を発揮できないままベンチを温めるという状況に陥りかねない。

8位:ガルビス(ソフトバンク/内野手)

同じスイッチヒッターの内野手ということで、南海、ダイエー時代のホークスでプレーしたバナザードと比較する声も。オープン戦ではこれまで1番・遊撃で起用されている 【写真は共同】

 2015〜19年にフィラデルフィア・フィリーズなどで遊撃のレギュラーを務め、シーズン20本塁打以上を2度記録した。通算本塁打は109本。実績は十分だ。スイッチヒッターで、遊撃に加えて二塁と三塁も守れる。

 もっとも、打率が.265を超えたシーズンは一度もない。選球眼も良くなく、出塁率はキャリア最高でも.309(17年)に過ぎない。また、15〜17年の3年連続二桁盗塁に対し、19〜21年は合計6盗塁。近年は、守備のパフォーマンスも低下傾向だ。年齢は32歳。あまり大きな期待をせず、それなりのパワーがある内野のユーティリティと見るべきだろう。

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著者プロフィール

1968年生まれ、三重県出身。MLB専門誌『スラッガー』元編集長で、現在はフリーランスのライター。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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