連載:センバツ2022「完全予習」

センバツ出場・関東勢の注目選手7人 明秀日立の投打の柱、山梨学院の主砲…

 今大会に出場する関東の高校は6校。昨年の選抜大会を制した東海大相模の名前こそないが、実力校が顔を揃えた。甲子園で注目すべき選手として山口史朗記者が挙げたのが、4人のエース、2人の4番打者、そして今年のドラフト候補でもある関東王者・明秀日立のキャプテンだ。

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宮城誇南(浦和学院3年/投手)

1年生の秋からエースナンバーを背負ってきた。昨秋は県大会準決勝で完投、関東大会準々決勝では前評判の高かった桐生第一を相手に被安打6で完封勝利を飾った 【西尾典文】

 浦和学院の左腕、宮城誇南は、自身2度目の甲子園をどんな思いで迎えるだろう。

 「あっという間だった」と振り返るのは昨夏の全国選手権だ。背番号1を背負いながら、出番は2点ビハインドの7回途中からだった。打者5人を相手に、被安打0で無失点。完璧なリリーフだったが、チームはそのまま3-4で敗れた。

 継投で勝つのが昨年の浦和学院のスタイルだった。現代の高校野球では当然の流れとも言えるが、宮城には自分一人に任せてもらえない悔しさもあった。

 ゆえに、新チームからのテーマは「1人で投げきること」。遊撃手を兼任する金田優太と競い合いながら、食事面から見直し、体重を秋季大会までに3キロ増やした。球速も140キロを超え、関東大会準々決勝では桐生第一(群馬)を完封。たしかな手応えをつかみつつも、敗戦した準決勝後は「課題は山積み。春に向けて取り組みたい」と覚悟を口にした。
 
 厳しいことで知られる”浦学”の冬練でさらなるパワーアップは間違いない。2度目の聖地は「長期滞在」にする。

石川ケニー(明秀日立3年/右翼手&投手)

 毎年のように評判の高い明秀日立の強打だが、今年は「今までの中でもトップレベル」と金沢成奉監督が言う。その中核となるのが、高校通算20本塁打で今秋のドラフト候補にも挙がる石川ケニーだ。

 一言で表すと、華がある。身長176センチ、体重75キロ。均整の取れた体格でユニホーム姿がかっこいい。昨秋の公式戦は打率.256と苦しんだが、関東大会の準決勝では2打点、決勝では逆転勝利へのきっかけとなる本塁打。試合の空気を一変させる力を見せつけた。

 もともとは「喜怒哀楽が激しい性格」という自己分析。主将を任されてからは「自分のことより、チームの勝利を優先する」と、冷静さを身につけた。不調でも主将としてチームを関東王者に導いたことはたしかな自信になっただろう。

 秋は左肘の怪我で登板がなかったが、投げても最速140キロの本格派。まだベールを脱いでいない「二刀流」のもう一方が、春は見られるかもしれない。

猪俣駿太(明秀日立3年/投手)

 派手さはないが、とにかくタフ。明秀日立の猪俣駿太は、勝てる投手だ。

 金沢成奉監督の言葉を借りると、「粘り強く、後半に強い」。関東大会では全3試合に先発し、2完投。投球回数と同じくらいの安打を打たれながらも、リードを守り切って頂点に立った。

 183センチの長身から最速142キロの直球を投げ下ろす。パッと見で「手足が長い」と感じさせる容姿だ。ただ、決して力任せにならず、ひょうひょうと低め、内外角に投げきる冷静さが光る。完投を意識して抜くところは抜く。崩せそうで、崩せない。相手打線からすると、そんな印象を与える投手だろう。

 明治神宮大会では広陵に序盤につかまり、3-5で敗れたものの、4回以降は1失点。「低めに投げれば通用する」としっかり収穫も手にした。

 打ってもリーチを活かした長打力が魅力の5番打者。関東王者を投打に支えている。

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著者プロフィール

朝日新聞東京本社スポーツ部記者。2005年に朝日新聞入社後は2年半の地方勤務を経て、08年からスポーツ部。以来、主にプロ野球、アマチュア野球を中心に取材をしている。現在は体操担当も兼務。1982年生まれ、富山県高岡市出身。自身も大学まで野球経験あり。ポジションは捕手。

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