連載:センバツ2022「完全予習」

センバツ出場・近畿勢の注目選手7人 大阪桐蔭の要、市和歌山・小園の後継者…

沢井史
 昨年の夏の選手権ではベスト4を近畿勢が独占し、改めてこの地域のレベルの高さが証明された。今回のセンバツには秋の明治神宮大会を制した大阪桐蔭を筆頭に、その近畿から7校が出場する。関西エリアを中心に高校野球を追い続けるライターの沢井史氏に、近畿の出場校の中から7人の注目選手を挙げてもらった。(学年は4月からの新学年)

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松尾汐恩(大阪桐蔭3年/捕手)

昨夏の甲子園では8番・捕手として下級生で唯一スタメンを務め、近江との2回戦でホームランも放った。新チームでは3番を打ち、攻守の要として神宮大会初優勝に大きく貢献 【写真は共同】

 今年の大阪桐蔭の攻守のキーマン。1年夏までは遊撃手だったが、その秋に捕手に転向した。

 昨秋の公式戦では5本塁打をマークし、打率も.538と打撃面は申し分ない。本人は「自分は中距離ヒッターなので長打は意識せず、野手の間を抜く当たりを打つことを常に心がけています」と言っている。

 目下の課題は守備だ。リード面を含めたインサイドワーク、キャッチングなど全ての要素で秋からの上積みがないと先はないと自覚している。「全員のピッチャーを引っ張り切れていないところがあるし、全てにおいて信頼されるよう、練習から引き締めていきたいです」。

 新チーム結成直後から食事量を増やして5キロの増量に成功し、パワーもついた。捕手でのプロ入りを目指しているが、西谷浩一監督は「現時点ではまだまだ。全体的にもっと成長してもらわないと」とさらなる奮起を期待する。

麻田一誠(和歌山東3年/投手)

 昨秋の快進撃を支えた1人だ。OBで同じサイド右腕の津森宥紀(ソフトバンク)に憧れ、出身地の滋賀県を飛び出して和歌山東の門を叩いた。

「他にいないピッチャーになりたい」と中学時代からサイドスローを貫いてきたが、2年夏までは公式戦マウンドの経験はなかった。だが、エースになった昨秋から投げるごとに成長。秋季大会ではカットボール、スライダー、ツーシームなどを操り、凡打の山を築いた。インコースへの制球力が抜群で、ひと冬を超えてストレートの球威もアップした。「体も大きくなって全体的に力はついているが、あとは大舞台で怯まずに投げられるかでしょうね」と米原寿秀監督。昨秋は手元で微妙にボールが動き、打者を手こずらせた。巧みな投球術を披露できれば、初の大舞台でも旋風を巻き起こす立役者になるかもしれない。

米田天翼(市和歌山3年/投手)

身長174センチと体は大きくないが、直球の威力は十分。昨年のセンバツでは2戦目の先発を任され、4回1失点でエースの小園につないだ 【沢井史】

 ストレートの威力なら、前エースの小園健太(DeNAドラフト1位)よりも上と評判だ。最速は148キロだが、数字以上に力強さを感じる。昨秋はその小園からエース番号を引き継ぎ、先輩に負けない制球力、テンポの良い投球を見せた。小園より体格は一回り小さいが、自身もそこを理解。「体が小さいなりに球への力の伝え方も意識しながら投げています」とリリースポイントなどを調整し、最良の球質を求めてきた。今春のセンバツに出場する投手の中でも好右腕の1人だろう。

「夏までには150キロを出すことが目標です」と大台突破という野望も抱きながら、エースとしての地位を固めつつある。昨春のセンバツですでに聖地のマウンドは経験したが、さらにスケールアップした姿を披露できるか。3歳上の兄・航輝さん(現・龍谷大)も市和歌山の主将として3年前のセンバツに出場し、ベスト8。その先を睨み、2度目の聖地に立つ。

戸井零士(天理3年/遊撃手)

 キャプテンを選出するチーム内の投票は満票だった。誰よりも信頼が厚く、自身も責任感が強い。「とらえた時の打球の強さはチームで一番」と、中村良二監督は打者としての能力の高さも評価する。昨秋は公式戦8試合で.433の打率を残し、近畿大会では市和歌山の最速148キロ右腕・米田天翼から会心の一発を放った。

 秋季大会の開催中は毎朝5時半に起きてストレッチをし、体調を万全にして試合に臨んだ。朝は500グラム、夜は800グラム〜1キロの白米をたいらげ、この冬は2カ月間で体重が7キロもアップ。下半身が安定し、打球が伸びるようになった。「もっと確実性を上げて、守備で投手を盛り立てて少しでもミスがないようにしたい」と前を向く。

 昨春のセンバツでチームはベスト4に入ったが、自身は11打数1安打と本領を発揮できなかった。それだけに、プロ注目の巧打者は心に期すものがあるはずだ。

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著者プロフィール

大阪市在住。『報知高校野球』をはじめ『ホームラン』『ベースボールマガジン』などに寄稿。西日本、北信越を中心に取材活動を続けている。

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