2022春のセンバツ「出場校ランキング」
記事
お届けするのは、開幕が間近に迫った春のセンバツに出場する32校の「チーム力ランキング」だ。「投手力」、「打力」、「機動力」、「守備力」の4項目に分けて各チームの実力を診断。1項目=10点満点で採点し、その合計値によって全32校をランク化した。(監修:松倉雄太)
※編集注:京都国際は部内の13人が新型コロナウイルスに集団感染したため、17日に出場辞退を発表した
※項目は横にスクロールします。
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解説
第94回選抜高校野球大会が3月18日に開幕する。出場32校は初戦へ向けて調整しているが、昨秋の公式戦の成績・戦績などを材料に、「投手力」「打力」「機動力」「守備力」の項目ごとに有力校を中心に見ていきたい。
毎春のことだが、ここで示したのはあくまでも秋のデータに基づくもの。高校生は一冬で大きく成長を遂げることが多々ある。良い意味で、データを覆すプレーを期待したい。
(文中の学年は4月からの新学年)
【投手力】
明治神宮大会を含めた昨秋の公式戦のチーム防御率は、四国準優勝の鳴門が0.69で32校中トップ。エース左腕・冨田遼弥(3年)は全守備イニングの80.77パーセントにあたる42回を投げ、防御率は0.86、投球回数を上回る45個の三振を奪った。
チーム防御率2位は1.11のクラーク国際。左腕・山中麟翔(3年)と、140キロを超える直球が武器の右腕・辻田旭輝(3年)のタイプの違う二枚看板がほぼ半分ずつを投げ、山中が1.00、辻田は1.09と素晴らしい防御率を記録した。
32校の主力投手(投球回数25以上)で個人防御率トップは、秋の日本一でもある大阪桐蔭の左腕・前田悠伍(2年)の0.78。チームトップの11試合に登板して5完投、そのうち一つは完封だった。無四球完投も2と抜群の成績を残した。なかでも明治神宮大会準決勝で、九州最強と呼ばれた九州国際大付の打線を4安打2失点に抑えたピッチング内容は、秋のベストパフォーマンスの一つと言えるだろう。
京都国際は、昨夏の甲子園4強の立役者となったエース左腕・森下瑠大(3年)が残る。秋は7試合に登板し、3完投でそのうち1完封。1.38の防御率以上に、10.97をマークした奪三振率が光る。
【打力】
秋の公式戦のチーム打率トップは山梨学院の.409。なかでも1番を打った鈴木斗偉(3年)は35打数22安打3本塁打で打率.629をマークした。関東決勝で敗れたが、打力に関しては優勝した明秀日立を上回ると見る。
神宮大会では新2年生世代の3人のスラッガーが活躍した。以下は秋の公式戦を通じての成績だ。
■佐々木麟太郎(花巻東)
14試合:46打数20安打 6本塁打 23打点
打率.435 長打率0.913、安打数に占める長打の割合50%
四死球17 三振5
■真鍋慧(広陵)
14試合:54打数24安打 1本塁打 25打点
打率.444 長打率0.648 安打数に占める長打の割合25%
四死球10 三振3
■佐倉俠史朗(九州国際大付)
14試合:48打数19安打 5本塁打 25打点
打率.396 長打率0.813 安打数に占める長打の割合52.6%
四死球13 三振10
広陵の真鍋は神宮で打った1本塁打だけだったが、3選手とも当たれば飛び、大きなインパクトを残した。3人が3人とも四死球の多さも顕著だ。
花巻東では、4番を打つ田代旭(3年)が3番の佐々木に次ぐ18打点を記録。広陵は真鍋につなぐ3番の内海優太(3年)が22打点。九州国際大付も佐倉の後を打つ5番の野田海人(3年)が3本塁打で20打点。いずれも、前もしくは後ろを打つ上級生が頼もしく、3校とも対戦相手にとっては嫌な打線と言えるだろう。
山梨学院、花巻東、九州国際大付とともに最高評価の「9」とした大阪桐蔭は、1試合平均安打(9イニング換算)が15.10で32校の中でトップ。昨夏の甲子園を経験した3番・松尾汐恩(3年)は打率.538をマークし、5本塁打もチームトップの成績だった。
【機動力】
1試合平均盗塁(9イニング換算)トップは大垣日大の3.60。岐阜大会前半で稼いだという傾向があるが、東海大会でも3試合で4盗塁と大きな舞台になっても持ち味の機動力を発揮した。
そのほか、天理と和歌山東が1試合平均3.54盗塁と3を超えた。なかでも初出場の和歌山東は、近畿準々決勝の京都国際戦の5回に、「ゴロゴー」で内野ゴロの間に貴重な1点をもぎ取るなど、機動力を活かしたしたたかな攻撃を見せる。甲子園でどんな試合を見せるか楽しみにしたい。
【守備力】
守備は失策、総失点における自責点の割合、許盗塁などをもとに評価した。
1試合平均失策(9イニング換算)が最も少ないのが関東王者・明秀日立。守備イニング数79で失策は3。1試合平均は0.34だった。総失点23は全て自責点で、失策や捕逸が失点につながらなかったことを示している。
九州王者の九州国際大付は110回2/3と多い守備イニングながら、失点に占める自責点の割合が93.3パーセント(失点30、自責点28)と出場校の中で3番目に高い。主将の野田を中心とする捕手陣の1試合平均許盗塁は0.16で、32校でナンバー1の数字だ。
チーム防御率トップの鳴門は守備の採点は「7」とした。総失点に占める自責点の割合は36.4パーセント(失点11、自責点4)と32校で最も低いが、この数字には裏もあり、四国決勝(対高知)での7失点は全て失策が絡んだものだった。県大会初戦から四国準決勝までの6試合は全て無失策と堅守を誇っており、最後の1試合だけで数字が大きく変わってしまった。
(企画構成:YOJI-GEN)