連載:夏の甲子園を沸かせたあの球児はいま

甲子園歴代V投手55人、即プロ入りは35% 約6割を占める大学進学組はプロでも苦戦

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16年夏に優勝投手となった作新学院の今井(右)は、その年のドラフトで西武に1位指名されてプロの世界へ。10年に春夏連覇を果たした興南の島袋(左)は、すぐにはプロに行かず中大に進学した 【写真は共同】

 焦点を当てたのは、夏の甲子園を制した歴代優勝投手の高校卒業後の進路だ。ドラフト指名されて即プロ入りした者もいれば、大学に進学した者、社会人野球に身を投じた者もいる。今回対象としたのは、1985年のPL学園・桑田真澄投手から、2019年の履正社・清水大成投手、岩崎峻典投手まで総勢55人。近年は継投で勝ち上がるチームも珍しくなくなったため、決勝の最終回にマウンドにいた投手だけではなく、主戦として投げていた選手をピックアップした。甲子園の大舞台で頂点に立ったあと、それぞれどんな道に進み、そしてどんな野球人生を送ったのか。

(一覧表はコラムの最後に掲載しています)

高卒プロ入りの19人のうち10人がドラ1

駒大苫小牧の田中は、2年時の05年夏に3年の松橋とともにマウンドを守り、優勝を経験。3年夏は準優勝に終わったが、プロ入り後は日本球界の至宝とも言うべき偉大な投手に 【写真は共同】

 1985年以降、夏の甲子園で優勝投手となった55人のうち、高校3年時にドラフト指名されてプロの世界に飛び込んだ者は19人いる。その中でドラフト1位指名は10人。12年の大阪桐蔭・藤浪晋太郎(阪神)、14年の前橋育英・高橋光成(西武、甲子園優勝は2年時の13年)、15年の東海大相模・小笠原慎之介(中日)、16年の作新学院・今井達也(西武)、18年の大阪桐蔭・根尾昂(中日)と、とりわけ近年は高い確率で1位指名されている。

 夏の甲子園優勝投手はプロで大成しない――。昔からよく言われることだが、この言葉は期待の大きさの裏返しでもあるだろう。実際、桑田真澄(PL学園→巨人)、松坂大輔(横浜→西武)、田中将大(駒大苫小牧→楽天)は、NPBでも最高峰と言える投手となった。松坂と田中はMLBでも活躍。桑田も晩年にMLBに挑戦して、そのマウンドで投げている。

 近年、ドラフト1位指名でプロ入りした既述の5人にしても、各球団でそれなりに結果を出していると言えるのではないか。藤浪こそ、ここ数年は特大のポテンシャルに見合ったパフォーマンスを見せられていないが、高橋は西武の主戦投手として活躍しており、同じ西武の今井も、昨季の不振から脱した今季は先発として自己最高の成績を収めそうな気配。ケガもあって停滞が続いていた小笠原も、今季はローテーションをしっかり守っている。プロでは野手専任となった根尾は苦しんでいるが、まだ3年目の21歳。今後の成長に期待したい。
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