連載:センバツ2022「完全予習」

センバツ出場・関東勢の注目選手7人 明秀日立の投打の柱、山梨学院の主砲…

成田陸(国学院久我山3年/一塁手&投手)

昨秋は東京都大会、神宮大会を通じて全試合で4番に座り、投手としても4試合でマウンドに上がった 【YOJI-GEN】

 国学院久我山の成田陸は、11年ぶりの選抜出場をドラマチックに決めた主砲だ。

 昨秋の東京都大会決勝。1-3の9回裏2死満塁で打席が回ってきた。「自分の力を信じて、フルスイングしてこい」という尾崎直輝監督の言葉に後押しされ、初球のカーブを強振。右翼手の頭上を越える逆転サヨナラ二塁打となった。

 場面もさることながら、成田の置かれた状況もドラマチックだった。

 大会中はとにかく苦しんだ。決勝こそ4打数2安打だったが、都大会の打率は.267。「真面目で考え込むタイプ」と監督が評する性格が、マイナスに働いたのかもしれない。ただ、心は折れないのも強み。無安打に終わった準決勝の夜、自宅の駐車場で1時間半も素振り。体が早く開く癖を修正し、生まれた逆転打だった。

 内野手兼投手。先発でも救援でもマウンドに上がる「二刀流」だ。聖地ではどんなドラマを見せてくれるだろう。

越井颯一郎(木更津総合3年/投手)

 相手が強いほど、気持ちが高ぶる。木更津総合のエース越井颯一郎はそんな気性の持ち主だ。

 真骨頂は昨秋の関東大会準々決勝。優勝候補と言われた東海大相模(神奈川)に対し、「やってきたことには自信がある。相手は気にしなかった」。最速146キロを誇る直球に、切れ味鋭いスライダー。強打者の4番・求航太郎からもスライダーで空振り三振を奪うなど、1失点で完投し、「選抜当確ライン」となる4強進出を決めた。

 投球だけでなく、この試合で目立ったのは、ピンチでの明るい表情だ。「自分が笑顔だと、みんなも笑顔になる」と、決して悲壮感を漂わせない。「ポジティブシンキング」を意識していると言い、投手としての心得にしている。

 木更津総合からは早川隆久(楽天)、山下輝(ヤクルト)ら、毎年のように好投手が輩出される。この右腕も、間違いなくその系譜に名を連ねる逸材だ。

布施東海(二松学舎大付3年/投手)

秋季東京都大会決勝では、3-1とリードしていた9回裏に3点を奪われサヨナラ負け。あのときの悔しさを胸に聖地に乗り込む 【YOJI-GEN】

 ピンチで抑える――。二松学舎大付の布施東海が、ずっと課題にしてきたことだ。秋の東京都大会決勝は、最後に試練が訪れた。2点リードの9回2死満塁から逆転の二塁打を浴びた。つかみかけた優勝は、するりと逃げていった。

「自分にはまだまだその力がない」。課題を思い返すとき、常に頭に思い浮かぶ先輩がいる。一つ上の秋山正雲(ロッテ入団)。昨夏、チームを甲子園に導いた左腕だ。東東京大会後、秋山から「一緒に甲子園に行くぞ」と、使っていたグラブをもらった。今も宝物だ。甲子園では2試合、マウンドを守る秋山の姿を見つめるだけだったが、思いは強くなった。「甲子園で投げたい。秋山さんに追いつき、越していきたい」。

 先輩を追い越すためにはピンチで強くなることが絶対に必要だ。直球とカーブの緩急で勝負する左腕の、腹をくくったマウンド度胸に期待だ。

高橋海翔(山梨学院2年/一塁手)

 結果を出す――。

 山梨学院の4番・高橋海翔を表現するなら、そんな言葉がぴったりだ。

「ああいうところで必ず打つんです。だから4番に置いている」

 吉田洸二監督がにんまり振り返ったのは、関東大会準決勝の浦和学院戦。高橋は1点を追う5回に同点適時打を放つと、2-2で迎えた10回1死三塁でも落ち着き払っていた。「変化球の見極めには自信があったので、ストレート1本狙いだった」。言葉通りの打撃で左前へ打ち返し、勝ち越し点を叩き出したのだった。

 中学硬式の強豪・世田谷西シニア出身。身長178センチ、体重76キロは、甲子園に出てくるチームの主砲としては特別に恵まれた体格ではない。それでも「結果を出す」力がこの右打者の天性だ。花巻東の佐々木麟太郎ら、新2年生スラッガーが注目されるこの選抜。山梨学院の2年生4番も、覚えておいたほうがいい。

2/2ページ

著者プロフィール

朝日新聞東京本社スポーツ部記者。2005年に朝日新聞入社後は2年半の地方勤務を経て、08年からスポーツ部。以来、主にプロ野球、アマチュア野球を中心に取材をしている。現在は体操担当も兼務。1982年生まれ、富山県高岡市出身。自身も大学まで野球経験あり。ポジションは捕手。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント