連載:“大谷翔平の衝撃”でどう変わる? 日本人メジャーリーガーの現在と未来

将来メジャーで活躍しそうな原石を探せ!! 現役高校生&大学生の「ネクスト大谷翔平」

西尾典文
 日本のプロ野球を経ずに、直接MLB球団と契約するケースは、これまでほぼなかった。花巻東高時代の大谷翔平もメジャー挑戦を明言していたが、結局は日本ハムへ入団。NPBで実績を残した上で、アメリカに渡っている。ただ、メジャーへの直行はハードルが高いにしても、現在のアマチュア球界にも将来メジャーで活躍しそうな逸材は少なくない。ここではアマチュア野球に精通するライターの西尾典文氏に、現役高校生、大学生の中から、「ネクスト大谷」のポテンシャルを秘めたダイヤの原石を紹介してもらう。

将来のメジャーリーガー候補は高校生が中心

高校1年の昨秋の段階で、「史上最高レベルの長距離砲」と断言できた花巻東の佐々木麟太郎。間違いなく将来のメジャーリーガー候補だ 【写真は共同】

 昨年の野球界で最も大きな話題と言えば、MLBにおける大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)の活躍だろう。否定的な意見の多かった投打の二刀流で見事な成績を残し、満票でアメリカン・リーグのMVPを受賞。メジャーの歴史にその名を刻んだ。

 また、このオフには大谷と同学年の鈴木誠也も、高いレベルの5ツールプレーヤーとしてメジャーの複数球団から注目を集めている。一時は減少した日本人選手のメジャー移籍は再び増加傾向にあり、高校生をはじめとする若い世代が、メジャーでのプレーを将来の目標に掲げることも一般的となった。

 そこで今回は、近い将来にメジャーで活躍できるだけのポテンシャルを秘めた現役アマチュア選手を何人かリストアップし、紹介したいと思う。

 過去にメジャーでプレーした日本人選手、そして現役日本人メジャーリーガーを見ても、圧倒的に多いのは高校からNPB入りし、数年後にアメリカへ渡ったケースである。実際、現役のアマチュア選手の中でも、将来のメジャーリーガー候補として名前が挙がるのは、やはり高校生が中心だ。

昨夏からの成長が著しい日本文理の田中晴也

今春の選抜出場は逃した日本文理の田中晴也だが、投球内容は夏から良化。体格的なスケールも申し分ない右腕は、今年のドラフトの注目株だ 【写真は共同】

 まず、今年高校3年生になる世代からは、大型右腕の田中晴也(日本文理/投手/右投左打)を推したい。

 初めてそのプレーを見たのは、昨夏の新潟大会準々決勝、対関根学園戦だった。この試合で田中は延長10回を1人で投げ抜き、2失点完投。ストレートの最速は142キロをマークしている。しかし、体つきは立派ながらフォームの躍動感が物足りず、当時はまだまだ時間のかかりそうな素材という印象だった。

 そんな田中の名前を真っ先に挙げたのは、そこからの成長が著しかったからだ。夏の甲子園では初戦で敦賀気比を相手に8回を投げて被安打15、8失点と打ち込まれたものの、腕の振りもボールの力強さも、新潟大会の時とは見違えるようだった。ストレートの最速は、地方大会を大きく上回る147キロを計測している。

 そして秋の北信越大会でも、準々決勝で星稜に敗れ、今春の選抜出場こそ逃したとはいえ、投球内容は夏からさらに良化。体格的なスケール(185センチ・82キロ)も申し分なく、順調にいけば、今年のドラフトで高校生投手の中でもNo.1の注目株となる可能性が高い。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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