高校生の投手でもう1人取り上げたいのが、春に新2年生となるハッブス大起（東北／投手／右投右打）だ。上尾シニア時代から注目されていた本格派右腕で、東北高校入学直後にいきなり140キロを超えるスピードボールを投げている。

　実際にピッチングを見たのは、昨秋の東北大会、対山形中央戦だった。5点ビハインドの6回から3番手としてマウンドに上がると、味方のエラー絡みで2点は失ったものの、4回を自責点0、3奪三振と好投。ストレートの最速は139キロにとどまったが、185センチの長身でも体のバランスが良く、上から振り下ろす長いリーチに大器の片りんを十分に感じた。

　また巧みなクイックモーションや素早いベースカバーなどからも、投手としてのセンスの高さが伝わってくる。将来は、高校の先輩であるダルビッシュ有（サンディエゴ・パドレス）の背中をぜひとも追いかけてほしい逸材だ。

　同じく、新2年生の世代からは、佐々木麟太郎（花巻東／一塁手／右投左打）を取り上げないわけにはいかないだろう。

　入学直後からファーストの定位置をつかむと、驚異的なペースでホームランを量産。昨年秋の時点ですでに高校通算50本塁打をマークしている。試合数、対戦相手、球場の広さなどに大きく左右されるため、高校通算本塁打数はあくまでも参考記録として見るのが一般的だが、ヘッドスピードとインパクトの強さを見ても、スラッガーとしての素質がずば抜けていることは明白である。

　パワーはもちろんだが、それ以上に目を引くのが、スイングの柔らかさと対応力だ。秋の東北大会では左中間に放り込み、また明治神宮大会では高めのボール球を高々とライトスタンドに運んでいるが、高校生でこれほどホームランにバリエーションがある選手はそうそういない。バッティング以外のプレーにはまだまだ課題が残るものの、少なくとも高校1年の秋の段階では、「史上最高レベルの長距離砲」と断言して間違いなかった。

　新2年生の野手ではもう1人、真鍋慧（広陵／一塁手／右投左打）もピックアップしたい。1年夏の広島大会初戦でいきなりホームランを放ち、秋の新チーム結成後は不動の四番に座る大型スラッガーだ。明治神宮大会では3試合で15打数8安打、1本塁打と見事な全国デビューを果たしている。

　現時点で、パワー勝負では佐々木に分がありそうだが、真鍋の持ち味はそのリストワークにある。189センチ・89キロの巨漢ながら内角の厳しいボールもきれいにさばき、ライト線の打球が切れることがない。バッティングのスタイル的により大谷に近いのは、佐々木ではなく真鍋のほうかもしれない。春の選抜では、そのバッティングにぜひとも注目してもらいたい。