〈セレッソ大阪〉
補強診断：C／戦力ランキング：71（12位）
昨シーズン：12位
監督：小菊昭雄（2年目）

　現状のレギュラーを脅かすような選手を獲得していないため、大きな変貌は望めないが、FC琉球やファジアーノ岡山でゴールを量産した上門知樹、超攻撃的サイドバックの毎熊晟矢、得点力のある右サイドアタッカーの中原輝など、J2で結果を残したイキのいい選手を獲得。全体のクオリティーはアップしている。

　絶対的なレギュラーだった坂元達裕がベルギーに旅立ったのは損失だが、清武弘嗣と乾貴士がフル稼働できれば、不安も解消されるはず。サンタ・クララからやって来たドリブラーのジェアン・パトリッキが夏頃までにフィットしてくると面白い。

　注目は前線のポジション争いだろう。昨季に台頭した加藤陸次樹と山田寛人、前述の上門、2年ぶりの復帰となるブルーノ・メンデス、オーストラリア代表のアダム・タガートと横一線の状態だ。前線の軸さえ定まれば、上位進出の可能性は十分ある。

【IN】
FW　ジェアン・パトリッキ　←サンタクララ（ポルトガル）
FW　ブルーノ・メンデス　←福岡（J1）
FW　上門知樹　←岡山（J2）
MF　鈴木徳真　←徳島（J1）
MF　中原輝　←山形（J2）
MF　岡澤昂星　←C大阪U-18（新人）
DF　山下達也　←柏（J1）
DF　山中亮輔　←浦和（J1）
DF　舩木翔　←相模原（J2）
DF　毎熊晟矢　←長崎（J2）
GK　真木晃平　←相模原（J2）
GK　清水圭介　←京都（J2）

【OUT】
FW　豊川雄太　→京都（J1）
FW　高木俊幸　→千葉（J2）
FW　松田力　→愛媛（J3）
FW　大久保嘉人　→引退
MF　坂元達裕　→オーステンデ（ベルギー）
MF　藤田直之　→鳥栖（J1）
MF　西川潤　→鳥栖（J1）
MF　松本凪生　→甲府（J2）
DF　瀬古歩夢　→グラスホッパー（スイス）
DF　小池裕太　→横浜FM（J1）
DF　チアゴ　→名古屋（J1）
DF　新井直人　→徳島（J2）
GK　松原颯汰　→千葉（J2）
GK　松井謙弥　→秋田（J2）
　
　

　〈ヴィッセル神戸〉
補強診断：A／戦力ランキング：79（6位）
昨シーズン：3位
監督：三浦淳寛（3年目）

　引退したトーマス・フェルマーレンの後継として、浦和レッズの槙野智章を獲得した。18年ロシアW杯にも出場したセンターバックは、チームリーダーとしても、ムードメーカーとしても貴重な存在だろう。

　横浜F・マリノスの“心臓”だった扇原貴宏は、ポゼッションをより強固なものにできるプレーメーカー。汰木康也はドリブルで攻撃に変化を加えられるウインガーで、これまでのチームにはいなかったタイプだ。

　前線には日本代表の大迫勇也と武藤嘉紀が並び、アンドレス・イニエスタ、セルジ・サンペール、ボージャン・クルキッチのスペイントリオも健在。サイドバックの選手層が薄いのが気になるが、それ以外は各ポジションにレギュラークラスを2人以上抱える豪華さ。近年、大型補強を繰り返してきたが、いよいよリーグタイトルを狙える陣容が完成した。

【IN】
FW　藤本憲明　←清水（J1）
MF　汰木康也　←浦和（J1）
MF　扇原貴宏　←横浜FM（J1）
DF　槙野智章　←浦和（J1）
DF　尾崎優成　←神戸U-18（新人）
GK　坪井湧也　←中央大（新人）

【OUT】
FW　ドウグラス　→柏（J1）
FW　田中順也　→岐阜（J3）
MF　櫻井辰徳　→徳島（J2）
DF　トーマス・フェルマーレン　→引退
GK　伊藤元太　→群馬（J2）

〈サンフレッチェ広島〉
補強診断：E／戦力ランキング：77（7位）
昨シーズン：11位
監督：ミヒャエル・スキッべ（新任）

　今オフ、最も動きが少なかったのがサンフレッチェ広島だ。放出したのはわずか3名。一方で新加入も、期限付き移籍から復帰する野津田岳人、愛媛FCから加わる川村拓夢のほかはルーキーの3人。既存の戦力を伸ばしていく狙いがうかがえる。

　とはいえ、昨季は11位に終わっている。特に得点力不足に苦しんだため、前線のテコ入れは必要だったのではないか。青山敏弘、塩谷司、佐々木翔など、ボランチと最終ラインのレギュラークラスに30代が多いため、20代半ばの即戦力も獲得したかったところだ。また、サイドバックタイプも不在のため、必然的に3バックを継続することになるだろう。

　楽しみなのはミヒャエル・スキッベ監督の手腕だ。来日の目処（めど）が立っていないが、ドイツの世代別代表やドルトムントユースの監督を歴任しており、若手育成には定評がある。シーズン前半での指揮官の評価・要望を聞き、夏の市場で補強するつもりかもしれない。

【IN】
FW　満田誠　←流通経済大（新人）
FW　棚田遼　←広島ユース（新人）
MF　野津田岳人　←甲府（J2）
MF　川村拓夢　←愛媛（J2）
MF　仙波大志　←流通経済大（新人）

【OUT】
MF　ハイネル　→横浜FC（J2）
MF　土肥航大　→水戸（J2）
MF　清水航平　→未定
　
　

〈アビスパ福岡〉
補強診断：C／戦力ランキング：78（7位）
昨シーズン：8位
監督：長谷部茂利（3年目）

　大量に抱えていた外国籍選手を整理し、ジュビロ磐田のエース、ルキアンを引き抜いたのは、J1定着・上位進出を狙ううえで的確な戦略だろう。J2得点王に輝いたブラジル人ストライカーは、献身的な姿勢も光るチームプレーヤーだ。昨季は流動的だった前線の核がようやく定まるに違いない。

　東家聡樹は期限付き移籍からの復帰、井上聖也はルーキーのため、純粋な補強はルキアンを含めて4人と少なめ。しかし、スピードスターの田中達也、攻撃的なサイドバックの前嶋洋太、空中戦にめっぽう強い熊本雄太と、ストロングポイントがはっきりしたスペシャリストを加え、戦い方の幅が広がりそうだ。

　2002年にJ2に降格して以降、J1に復帰しても1年でJ2に舞い戻る“エレベータークラブ”だったが、昨季は8位でJ1に残留。さらなる上位を狙える陣容が整った。

【IN】
FW　ルキアン　←磐田（J2）
FW　東家聡樹　←今治（J3）
MF　田中達也　←浦和（J1）
DF　前嶋洋太　←横浜FC（J1）
DF　熊本雄太　←山形（J2）
DF　井上聖也　←甲南大（新人）

【OUT】
FW　ジョン ・マリ　→アル・シャバブ（サウジアラビア）
FW　ブルーノ・メンデス　→C大阪（J1）
FW　石津大介　→未定
MF　吉岡雅和　→山口（J2）
MF　カウエ　→未定
DF　エミル・サロモンソン　→ヨーテボリ（スウェーデン）
DF　カルロス・グティエレス　→栃木（J2）
　

　〈サガン鳥栖〉
補強診断：D／戦力ランキング：68（17位）
昨シーズン：7位
監督：川井健太（新任）

　昨季は旋風を巻き起こし、7位の好成績でフィニッシュしたが、主力選手が続々と移籍。他クラブからのオファーを断って残留を表明したキャプテンのエドゥアルドまで2月2日に横浜F・マリノスへと電撃移籍。これで昨季のレギュラーはパク・イルギュ、ファン・ソッコ、飯野七聖の3人だけとなった。

　とはいえ、強化部の仕事も早かった。古巣復帰となる藤田直之、小野裕二、福田晃斗のベテラン3人に加え、昨季、徳島ヴォルティスの前線を支えた垣田裕暉と宮代大聖、才能あふれるレフティの西川潤など、能力の高い選手をしっかりと集めた点は評価できる。

　あとは、金明輝前監督が推し進めてきたボール保持スタイルを継承する川井健太新監督の戦術がどこまで浸透するか。ビルドアップの重要性を考えると、エドゥアルドの抜けたセンターバックの人選――ジエゴなのか、島川俊郎なのか――がカギを握ることになりそうだ。

【IN】
FW　垣田裕暉　←徳島（J1）
FW　宮代大聖　←徳島（J1）
FW　石井快征　←愛媛（J2）
FW　荒木駿太　←駒澤大（新人）
FW　梶谷政仁　←国士舘大（新人）
FW　藤原悠汰　←明治大（新人）
MF　小野裕二　←G大阪（J1）
MF　藤田直之　←C大阪（J1）
MF　西川潤　←C大阪（J1）
MF　堀米勇輝　←山形（J2）
MF　福田晃斗　←新潟（J2）
MF　森谷賢太郎　←愛媛（J2）
MF　佐藤響　←流通経済大（新人）
MF　菊地泰智　←流通経済大（新人）
DF　ジエゴ　←徳島（J1）
DF　原田亘　←今治（J3）
DF　孫大河　←立正大（新人）
GK　岡本昌弘　←愛媛（J3）
GK　深谷圭佑　←品川CC（神奈川1部）

【OUT】
FW　和田凌　→ブリスベン・ロアー（豪州）
FW　山下敬大　→FC東京（J1）
FW　イスマエル・ドゥンガ　→讃岐（J3）
FW　酒井宣福　→名古屋（J1）
MF　樋口雄太　→鹿島（J1）
MF　小屋松知哉　→柏（J1）
MF　白崎凌兵　→清水（J1）
MF　仙頭啓矢　→名古屋（J1）
MF　梁勇基　→仙台（J2）
MF　高橋義希　→引退
DF　大畑歩夢　→浦和（J1）
DF　エドゥアルド　→横浜FM（J1）
DF　内田裕斗　→仙台（J2）
DF　松本大輔　→金沢（J2）
GK　板橋洋青　→愛媛（J3）