連載:ランキングと座談会で振り返る「高校サッカー選手権100回の歴史」

1年時に日本一の浦和南・水沼貴史など 偉大な100人「FW編」は候補者が多数

吉田治良
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国見からは大久保、松橋、平山(写真)の3人が選出された。なかでも選手権の通算最多得点記録を持つ平山は、そのスケールが高校生離れしていた 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

「選手権を彩った偉大な100人」を決める座談会も、前回までにGK10人、DF20人、MF35人の計65人が決まり、残すはFW部門の35人になった。ただし、候補者には歴代の得点王をはじめ、それこそ歴史に名を残すアタッカーがひしめき、選考は難航を極めた。もっとも、選手権に3年連続で出場し、1年時にはウイングのレギュラーとして優勝に多大な貢献を果たした「浦和南の水沼貴史」は、座談会参加者のワッキーさん、土屋雅史さんの2人も、文句なしでリストアップしている。

大迫以上にバケモノ感があった平山相太

水沼氏(左)は緩急自在のドリブルと正確なキックで鳴らし、選手権では1年時にレギュラーとして日本一に輝いた 【写真は共同】

──ついに最後のフォワード(FW)部門です。ここもMFと同じく35人を厳選しましょう。

ワッキー まずは水沼貴史(浦和南)、ですね。

水沼貴史(以下、水沼) 入れてもらっていいの?

ワッキー もちろんです(笑)。

土屋雅史(以下、土屋) 選手権は3大会連続出場で、1年生の時には、あの静岡学園との壮絶な決勝(5-4で浦和南が勝利)で3アシストですからね。文句なしでしょう。

水沼 ありがとう(笑)。しかし、FWは候補者が多すぎるよね。例えば、東海大一の初出場・初優勝(86年度)の快挙を支えたアデミール・サントス平澤政輝とかね。

土屋 当時では珍しいサッカー留学生だったサントスは、国見との決勝で決めた伝説の“バナナシュート”が有名ですが、前線でコンビを組んだ平澤もめちゃくちゃカッコよかった。翌年も7ゴールで大会得点王に輝いて、チームの準優勝に貢献。高校サッカー史に残るスーパースターでしたよね。

ワッキー 僕のイチオシは国見の大久保嘉人ですね。3年時の草津東との選手権決勝(00年度)は生観戦しましたけど、こんなになんでもできるアタッカーは、これまで見たことがないなって思いました。足元が器用で、上背はないのにヘディングも強い。

土屋 インターハイ、国体(国見が長崎県代表として単独出場)、選手権の3冠を達成した年ですね。

ワッキー そうそう。国見って、僕も何度か対戦しましたけど、みんな坊主頭だから、試合をしていると誰が誰だか分からなくなるんです(笑)。もちろん平山相太みたいなのは別格ですけど、大久保もボールの持ち方が他とは違っていたし、シュート技術がずば抜けていたので、ひと目で分かりましたよね。「そこから打つの?」みたいなシュートを決めたりして。

水沼 嘉人も間違いなく凄かったけど、前線でコンビを組んでいた同学年の松橋章太もインパクトがあったよね。

ワッキー めちゃくちゃ足が速かった。
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著者プロフィール

1967年、京都府生まれ。法政大学を卒業後、ファッション誌の編集者を経て、『サッカーダイジェスト』編集部へ。その後、94年創刊の『ワールドサッカーダイジェスト』の立ち上げメンバーとなり、2000年から約10年にわたって同誌の編集長を務める。『サッカーダイジェスト』、NBA専門誌『ダンクシュート』の編集長などを歴任し、17年に独立。現在はサッカーを中心にスポーツライター/編集者として活動中だ。

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