元日本代表FWの水沼貴史さん、「ペナルティ」のワッキーさん、サッカーライターの土屋雅史さんの3人による座談会。記念すべき100回目の高校サッカー選手権開幕にあたって、これまでの歴史を彩ってきた偉大な100人を選出していただく（首都圏開催となった1976年度大会以降の選手が対象）。計30人を厳選した前回の「GK＆DF編」に続いて、第2回目は「MF編」だ。市立船橋高時代のワッキーさんが、選手権2回戦で密着マークした清水商業の名波浩を筆頭に、甲乙つけがたいタレントがひしめくセクションだが、ここでは35人に絞り込んでもらった。

──次はミッドフィルダー（MF）ですね。できれば35人くらいに絞り込んでいただきたいです。

ワッキー　僕が外せないのは、1学年下の上野良治（武南）ですね。常人には理解不能な、これぞ天才っていうプレーヤー。試合中はボールをほとんど見ずに、ずっときょろきょろしながらプレーしてた。

水沼貴史（以下、水沼）　同級生の名波浩（清水商）じゃなく？

ワッキー　名波の場合は、“レフティの天才”って感じでなんとなくイメージできると思うんです。でも、上野は次元の違う天才というか、本当に理解のできない人でしたね。

水沼　それは分かる。

ワッキー　当時からノールックもよくやってたし、アウトでポーンって出して、「こいつどこに蹴ってんだよ」って思ったのが、絶対にいいパスになってるという。

土屋雅史（以下、土屋）　1年生の時は坊主頭でしたけど、年を追うごとにロン毛になっていって（笑）。

水沼　藤色と白のユニホームがよく似合っていたよね。

──ワッキーさんは90年度大会の2回戦で、清商の名波さんにマンツーマンで付いたんですよね？

ワッキー　はい。「ボールを見るな、名波だけ見てろ」って、マジで先生（布啓一郎監督）に言われましたから。ぎゃんぎゃん削りましたよ。だって削らないと取れないんですもん（笑）。

水沼　上手かった？