安藤美姫が語るNHK杯の見どころとは? 女子は「高難度ジャンプだけでは戦えない」

沢田聡子
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NHK杯女子シングルの日本勢は、坂本花織(左)、松生理乃(中央)、河辺愛菜(右)という顔ぶれになった 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 今季のフィギュアスケートは、ようやく世界各国の選手が競うグランプリ(GP)シリーズが戻ってきた。日本開催となるシリーズ第4戦のNHK杯が11月12〜14日、国立代々木競技場第一体育館で行われる。北京五輪の代表選考を見据えるうえでも見逃せない戦いが続く。

 日本勢は男子の羽生結弦(ANA)に続き、女子の紀平梨花(トヨタ自動車)もケガのため欠場が決定。男女両エースが不在にはなるが、代わりにチャンスを得た選手にとってはまたとない晴れ舞台となる。世界選手権で2度の優勝を果たし、五輪にも2006年のトリノ、10年のバンクーバーと2大会続けて出場した安藤美姫さんに、女子シングルを中心に大会の展望をうかがった。(取材日:11月5日)

「女子も挑戦し続けられる時代」になったことを実感

世界選手権を2度制した安藤美姫さんに、女子シングルを中心にNHK杯の見どころを聞いた 【写真:本人提供】

――昨季のNHK杯はコロナ禍の影響もあり日本人選手中心の開催になりましたが、今回は海外勢のトップ選手も参加します。

 昨年のNHK杯は、GPシリーズに普段出られない日本人選手にとっては大きな舞台を経験できる機会になったので、大きな意義がありました。今季はGPシリーズらしい雰囲気が戻ってきて、コロナ禍の中でスケート界にも少しずつ日常が戻ってきた印象です。NHK杯に海外のトップ選手も呼べるようになり、観客も動員します。こうした環境で試合ができることに感謝しつつ、幸せを分かち合う温かい雰囲気の大会にしてほしいですね。

――女子シングルは、高難度ジャンプを跳ぶ選手が増えていますね。

 女子は今大会の出場選手のうち約半数がトリプルアクセルを跳ぶ可能性があります。やはり女子のレベルは世界的に上がっていますね。4回転を跳ぶ選手が何人もいるなど時代は変わりました。その変化を観客の方も間近で観られる機会だと思います。

 私がジュニアの頃もトリプルアクセルを入れる選手はいましたが、その後いろいろなルール改正がありました。今はジャンプだけでは勝てない、ファイブコンポーネンツもちゃんと見ることで、やっと安定した採点法になったのかなと。ジャンプを1本失敗したとしても、ファイブコンポーネンツの評価も強みになる。ベースがきっちりしたからこそ、「女子も挑戦し続けられる時代」になったのだと思います。
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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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