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#BAYSTARS
ベイスターズと金谷かほりが仕掛ける
観客を幸福にする「両思いのモーメント」
斬新な球場演出でいつもファンを驚かせ、楽しませてくれる。今年行われた「YOKOHAMA GIRLS☆FESTIVAL 2021 Supported by ありあけハーバー」ではミュージカルショーを披露した
斬新な球場演出でいつもファンを驚かせ、楽しませてくれる。今年行われた「YOKOHAMA GIRLS☆FESTIVAL 2021 Supported by ありあけハーバー」ではミュージカルショーを披露した【(C)YDB】

 白馬に選手たちを先導させる2016年の本拠地開幕セレモニーや、「YOKOHAMA STAR☆NIGHT」で夜空にドローン100機を飛ばせるなど球場を特別な空間に変えてファンを楽しませている横浜DeNAベイスターズ。一方、B'zや倉木麻衣というトップアーティストから「ドラゴンクエスト ライブスペクタクルツアー」など数々のショーの演出を手掛ける金谷かほり氏。業界第一人者の同氏とベイスターズで演出部門を統括するビジネス統括本部エンタテインメント部の高橋寿俊部長が「演出」をテーマに語り合った。(取材日:8月25日)

スタジアムでどんなストーリーを見たい?

――ライブエンターテインメントを手掛ける二人は「演出」の役割をどう考えていますか。


金谷 一番シンプルな言い方だと、お客様に何をお見せして、何をお見せしないか。見ていただいているものをどう感じていただきたいか。そこにフォーカスしていくことですね。


高橋 我々はライブエンターテインメントではありますが、プロ野球という真剣勝負の場がまずあります。そこで生まれる筋書きのないドラマにスパイスとして演出を加えることで、お客様にどういう記憶や体験を持ち帰っていただきたいか。そこにフォーカスしていくのが演出の役割だと考えています。


金谷 例えばアーティストのライブとミュージカルでは、ちょっと違う体験になります。会場のスケールや観客数によっても、興奮や喜び、物語性など、何を味わっていただくかは変わってきますね。


高橋 我々は3万人規模のスタジアムを舞台にしています。アーティストをお呼びしてライブをやったり、今年は女性向けのイベントでミュージカルショーにチャレンジしたりしました。ライブとミュージカルの特性を考えた場合、スタジアムで行うときにはどんなことを大切にされていますか。


金谷 スタジアムのサイズだと、ストーリーの込み入った心情まではお伝えしづらいです。だから逆に、どんなストーリーを選び、“何”でお伝えできるかと考えますね。やっぱり広い会場だと、人は壮大なものを見たいという気持ちを最初から持たれている可能性があります。それを裏切るのも我々の仕事ですが、裏切らないでやると素直にうまくいくときもあります。


高橋 我々がミュージカルを行ったときのアンケートでは、「ストーリーの設定が細かすぎてわかりにくかった」という声をいただきました。どんなストーリーを選ぶか、そこから大事になるのですね。

会場に来てくれた観客全員が“主人公”

「ヤスアキジャンプ」のように、お客様が一体となって沸き上がる行為の目的がはっきりしているかが重要だと金谷氏は話す(写真は2019年の様子)
「ヤスアキジャンプ」のように、お客様が一体となって沸き上がる行為の目的がはっきりしているかが重要だと金谷氏は話す(写真は2019年の様子)【(C)YDB】

金谷 それはすごくあります。「ドラゴンクエスト ライブスペクタクルツアー」を全国のアリーナでやらせていただいたとき、このゲームの素晴らしさは名前を付けられることだと考えました。名前とは何か。それはすべての人が持っているものである。そして、誰かが思いを込めて付けたものである。それを一人ひとりが持っているということで、主人公とお客様をつなげる「光るブレスレット」という一つの共通の持ち物を持っていただいた上で、冒険を目で味わってもらおうと考えました。そして、ゲームコンテンツの素晴らしさを広々とした会場で見せるという手法で行いました。


高橋 ドラゴンクエスト誕生30周年のプロジェクトとして行われ、金谷さんは直前の公開リハーサルで「ここに集う意味を、形にすることを大切にした」とおっしゃっていましたよね。演者と観客の全員で光るブレスレットを使って、それを表現されているところに感銘を受けました。


金谷 ありがとうございます。


高橋 我々は今年の開幕カード「OPENING SERIES 2021」から、コロナ禍で声が出せない代わりに拍手で応援しようと「YOKOHAMA CLAP」という企画を行っています。


金谷 手拍子や一緒に踊ることを私はテーマパークでよくやります。その行為は何なのか、という点がすごい大事ですよね。叩いた音はどこにどう届くのか。この音が何を作り上げるのか。目的がはっきりしているといいと思います。

――そういう意味では、ベイスターズファンの「ヤスアキジャンプ」は意味を感じます。


高橋 試合終盤の緊迫した場面で山崎康晃投手が出てくると、球場のみんなでジャンプします。今はコロナでできないためタオルを掲げていますが、山崎投手を鼓舞して、三者凡退に打ち取ってもらって勝利へラストスパートをかけるという意味合いがあります。


金谷 嬉しい瞬間ですね、お客様にとって。


高橋 Zombie Nationの登場曲がかかった瞬間、皆さんのテンションが一気に上がっている様子を球場でいつも感じています。目的があって、それに対してお客様に乗っていただいているからだなと。

中島大輔

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

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