湘南ベルマーレとサポーターの新たな関係 トークンだからこそ実現する「特別な日」

池田タツ

5月26日の川崎F戦がスペシャルデーに決定。サポーターの、サポーターによる、サポーターのための特別な日になりそうだ 【(C)J.LEAGUE】

 ファン・サポーターと新たな関係を築けるうえに、収入源にもなる「トークン」。欧州ではバルセロナ、ユベントスなどが発行しているが、日本でも湘南ベルマーレがプロスポーツクラブとして初めて発行。トークン保有者による投票やクラブとのミーティングなども進み、最初のイベントが5月26日に開催される。その名も「緑と青の湘南トークンDAY」。その舞台裏について、湘南ベルマーレ営業部の加藤謙次郎氏、トークンを発行するフィナンシェ代表取締役の田中隆一氏、コミュニティグループの齋藤芳郎氏、トークン保有者の“とし魂”さんに話を聞いた。

「クラブとの距離が近くなった感じがする」

 5月26日に開催されるJ1第16節の湘南ベルマーレ対川崎フロンターレ戦は、日本初のトークンによって作られたスペシャルデーになりそうだ。

 湘南は21年1月21日、日本のプロスポーツクラブとして初めてサッカークラブのトークンを発売した。最終的にはトークンの購入者は347人となり、金額は570万円ほど集まった。

 トークン担当である湘南の営業部の加藤謙次郎さんは「『トークンって何?』というサポーターが多かったが、なんだか面白そうだから買ってみた、というサポーターが多い」と明かしてくれた。

 今回のトークンは、購入者が5月26日行われるトークンスペシャルデーにさまざまな形で関われるものとして販売された。

 実際に購入した湘南サポーターの“とし魂”さん(@toshitamashi)は、「トークンを買ってからクラブとの距離が近くなった感じがする。気軽に自分のアイデアを書けるし、クラブからも“いいね”などの反応が得られてうれしいですね」と新しい取り組みを早速楽しんでいた。

 トークン購入者はフィナンシェが提供するアプリ内に集い、サポーターが作るスペシャルデーのネーミング案を出し合った。最終的にスペシャルデーの名前は「緑と青の湘南トークンDAY」に決まった。

 サポーター同士が話し合って決まる流れは、まさに“サポーターの、サポーターによる、サポーターのためのスペシャルデー”と言っていいのではないだろうか。

タオルマフラーのデザインに投票

トークン購入者はフィナンシェが提供するアプリを利用して投票などのプロジェクト企画に参加できる 【写真提供:フィナンシェ】

 トークン購入者はこうしたコミュニケーション機会を得られるだけでなく、本来であればパートナー企業にしか開かれていない、さまざまなスペシャルデーに付随する権利を購入する機会も得られるのだ。下記が今回販売された権利の一部となっている。

・のぼり旗のお名前掲載コース
・試合前のウォーミングアップ見学コース
・大型ビジョンへのお名前掲載&ご紹介コース
・VIP席での試合観戦コース
・選手が選ぶおすすめグッズのオンライプレゼントイベントの参加権利コース
・貴賓席でのスペシャルデー観戦コース
・選手のデジタルコンテンツ

 上記の権利はトークンとセットで販売され、権利とトークンを同時に買う形となる。

 今まではパートナー企業にのみ売られてきたが、サポーターにも開かれたことで、のぼりやオーロラビジョンにどんなメッセージが出てくるか、トークンを持っていないサポーターにとっても興味のあるところではないだろうか。

 トークン保持者は、このスペシャルデー限定のタオルマフラーのデザインを決める投票にも参加できた。

 とし魂さんは「タオルマフラーのデザインに投票できるのは楽しいし、実際投票したものに決まるとうれしいですね。タオルマフラーはデザインが好みじゃないと買わないこともありますから」と、トークン保持者としてのメリットを最大限に活用している。

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著者プロフィール

株式会社スクワッド、株式会社フロムワンを経て2016年に独立する。スポーツの文字コンテンツの編集、ライティング、生放送番組のプロデュース、制作、司会などをこなし、撮影も行う。湘南ベルマーレの水谷尚人前社長との共著に『たのしめてるか。湘南ベルマーレ フロントの戦い』シリーズがある。

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