ファン、クラブの双方がウインウイン STVVが発行したトークンの魅力とは?
14カ国の選手が所属する多国籍軍のSTVVにとってファントークンの発行は、グローバルなファンにアプローチする大きなきっかけとなった 【写真:REX/アフロ】
ファントークンは消費ではなく投資
それが、ファントークンだ。
ファントークンとは、デジタル資産の一種で、所有者はクラブが開催する投票イベントに参加するなど、特別な体験を得ることができる。
年会費を支払うファンクラブとは異なり、一度購入したファントークンは手放さない限り、行使しても消滅しない。所有すれば、半永久的にクラブを応援することができるのだ。
「クラウドファンディングや投げ銭は、使ったお金が二度と返ってこないため、消費的な側面が強い。でも、ファントークンはマーケットプレイス上で購入して、権利を所有するイメージです。欲しい人が増えると価値も上がっていくので、投資でもある。お金を使ったというより、オーナーシップを持っているという擬似体験ができる。ここが革新的なポイントだと思います」
そう語るのは、ベルギー1部リーグのシント=トロイデンVV(以下STVV)でビジネスダイレクターを務める村田晋之佑氏だ。
ヨーロッパではユベントス、バルセロナ、パリ・サンジェルマン、アトレティコ・マドリー、ガラタサライ、ローマといった有名クラブがChiliz(チリーズ)の運営する『Socios.com』と提携し、ファントークンを発行しているが、STVVも2020年12月にこの新しいサービスを導入した。
「もともと、スタジアムに来られない方はたくさんいらっしゃるんです。特に我々は今、14カ国の選手を抱えていて、ファン・サポーターのグローバル化が進んでいる。しかも、今はコロナ禍ですから」
スローガンを投票で決定する
ビジネスダイレクターを務める村田晋之佑氏。STVVは『Socios.com』への参画の意思を7番目に表明し、13番目にファントークンを発行したクラブとなった 【(C)STVV】
例えば、ユベントスは第1回のイベントとして、本拠地アリアンツ・アレーナにおけるゴールセレブレーションソングを決める投票を行った。一方、STVVはこれまで以下のようなイベントを開催している。
・キャプテンマークのメッセージを決めよう
・クロスバーチャレンジの罰ゲームを決めよう
・ユースユニホームに圧着されるスローガンを決めよう
・復刻版レトロシャツに投票して、復活させよう
「イベントに関しては、マーケティングチームが考えてくれた多くの案をブラッシュアップし、最終的に私を中心にチーム内で決めています。今後、試合の入場時のゲートに掲げるスローガンを投票で決めるとか、試合中に見える部分にファン・サポーターの投票結果が反映されるようなイベントをもっとやりたいと思っています」