ラ・リーガ39クラブ、ESL騒動に共同声明 フットボールに最も大切なものとは?
テバス会長「なぜ秘密裏に事を進めた?」
歯に衣着せぬ物言いで有名なテバス会長は、ESL構想について嫌悪感をあらわにしていた 【写真提供:La Liga】
プレミアリーグの6クラブ(リバプール、マンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティ、チェルシー、アーセナル、トッテナム)、ラ・リーガの3クラブ(レアル・マドリー、バルセロナ、アトレティコ・マドリー)、セリエAの3クラブ(ユベントス、ミラン、インテル)の合計12クラブが次々にESLへの参加表明を公式発表したことで、欧州で長年噂(うわさ)の域にとどまっていた構想がとうとう現実のものとなった。しかし、欧州での社会的、政治的猛反発を受ける格好でプレミア勢6クラブが20日深夜に次々と撤退を表明。これによって実質的にわずか48時間でESL構想は頓挫した。
今回のESL騒動に対し、ラ・リーガは22日参加表明をした前述の3クラブを除く1部、2部の39クラブの会長を集めた会談を開いた。その後、39クラブの署名で共同声明を出し、会談終了後には世界中のメディアを招待して記者会見を開いた。その会見にはラ・リーガのハビエル・テバス会長を筆頭に、セビージャ、ベティス、バレンシア、レバンテ、ビジャレアルの5クラブの会長も出席。世界中から集まった250名以上のジャーナリストからの質問を受ける形で1時間以上に及ぶ会見を行った。
本稿では、その会見で出たラ・リーガ会長陣の見解や質疑応答でのやり取りをいくつか紹介しながら、すでに過去のものとなったESL騒動をラ・リーガ視点で振り返る。
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「われわれはこの25年ほど、常にUEFAから独立したリーグの脅威にさらされてきた。これがついに現実のものとなって、48時間というスピードで過ぎ去っていった。 すべてが終わったとは言わないが、大部分は終わった。これが私の今の分析だ。それから、今回の騒動ではファンや政治家などからの反応が非常に大きく、例えばイングランドでは当面今回のようなことは起きない。ポジティブな点としては、長い期間をかけての構想が一瞬にして立ち消えとなったことだ」
歯に衣着せぬ物言いで有名なテバス会長は、今回のESL騒動の中心となったレアル・マドリーのフロレンティーノ・ペレス会長の「フットボールを救うため」というESL設立の意義に対してもはっきりこう反論した。
「少なくとも実力主義の概念全体に影響を与える現実だ。彼は『この構想が財政破綻を救う』『国内リーグに害を及ぼさない』と言っていたが、欧州ではこの50年、欧州の大会に出場するために国内リーグの38節を戦う方法が採用されてきた。それが国内リーグを戦うこともなく参加できるリーグとはどういうことなのか? プロジェクトを主導してきたレアル・マドリーの会長は、『これはサッカーの未来のために良いことだ』と語っていたが、それが事実であればなぜ秘密裏に事を進めてきたのか? 本当に良いことをしているのであれば、表で堂々とやればよかったのだ」
会見参加のクラブからも反対の声
ホセ・カストロ会長(セビージャ)
「サッカーはみなのものであり、ファンのためのもの。私たちは、自分たちの街の名前を冠し、その街を代表していることを誇りに思っている。私たちはピッチ上での成功を信じていて、すべてのクラブはスポーツでマイルストーンを獲得する権利を持っている。現在のシステムでもそれは可能」
アンヘル・アロ会長(ベティス)
「私たちはスポーツ的なメリットに基づかない方法、参加クラブの選び方、フォーマットに同意しない。また、主役であるファンを無視したやり方だ。これでは、ファンやクラブの夢、つまり最高の大会に出場できるという希望が壊されてしまう。未曽有の危機にあるわれわれは今、トップの収入を増やすことではなく、コストをコントロールすることを考えるべき。サッカー界のインフレは、トップクラブの過剰なサラリーから来ている」
フェルナンド・ロッチ会長(ビジャレアル)
「成功はスポーツレベルで獲得すべきもので、その可能性を妨げるものがあってはならない。だからこそ、私たちはこのプロジェクトを完全に拒否する。今、私たちの現実はCOVID-19に大きく影響されている。パンデミック下では収入が無限に増えることはないということを私たちに思い出させてくれた。私はタイルの商売をしていて価格は際限なく上げていきたい。でも、市場に応じたコストと価格の調整が必要。サッカーも同じ。収入には限りがある。今クラブがやるべきはコストカット」