スペインで驚いたこと、難しさは? 岡崎慎司が考える、欧州で生き残る選手
海外でプレーし続けて10年以上。岡崎慎司が考える、スペインで活躍するため、ヨーロッパで生き残るために必要なことは? 【Getty Images】
ブンデスリーガ、プレミアリーグと渡り歩いた岡崎は、ラ・リーガでプレーして何を感じたのか。日本人選手がスペインで活躍するために必要なこと、またヨーロッパで戦い続ける選手とは……。自身の体験をもとに語ってくれた。厳しい世界を生き抜いてきた男の言葉には、説得力がある。(後編/全2回)(取材日:2月4日)
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無名選手たちの技術の高さにビックリ
最初ドイツに行ったときは、もちろん体格の部分で心配することもあったんですけど、行ってみて思ったのは、やれないことはないなということ。そのあとイングランドに行って、スペインに来ましたけど、体格やフィジカルが全然違う相手に対して、日本人の良さというか、予測や反応、考えるプレー、チームにフィットする力を駆使すれば、やれないことはないという自信がついてきました。
Jリーグで自分の土台が作れて、さらに日本代表でもプレーすることでさらに自信を得て、そこからの海外移籍でした。ステップアップしながらプレーできたので、ヨーロッパでのプレーも問題なくやれたのかなと思います。
――スペインのサッカーはブンデスリーガやプレミアリーグと比べてどう違いますか?
スペイン代表もそうですし、ラ・リーガのクラブの選手たちもそうですけど、自分たちのサッカーがすごく根付いているなと感じます。それは昨シーズン、プレーした2部でも感じていました。激しさ、インテンシティが高いことはもちろん、それ以上にボールを扱う技術だったり、ドリブルの技術だったり、本来サッカーに必要な部分を、無名の選手たちが持っていることにすごいビックリしました。
そういう意味では、サッカーがすごくうまい選手が多いですね。ドイツやイングランドでもそうなんですが、スペインはよりそれを感じます。スペイン人選手が多いこともそうだし、この国のサッカーがリーグにすごく根付いていて、外国人選手が活躍するのは難しいなと。スペイン語を話さなければいけないことも含めて、スペインサッカーが根付いていることを、プレーしていて感じますね。
――プレミアリーグ優勝とラ・リーガ2部優勝、どちらの優勝により貢献できたと思いますか?
比べるのはすごく難しいですね。得点数とかストライカーとしての仕事でいえば、もちろん昨シーズンのラ・リーガ2部での優勝が大きかったと思います。でもレスターでの優勝というのは、目に見えない部分で僕自身もチームにフィットしたと思いますし、貢献していた部分もたくさんあった。より価値があるのはプレミアリーグですかね。日本人としても大きな価値があったかなと思います。それでも両方を比べるというのは、僕にはできないですね。自分にとっては両方素晴らしい経験だったと思います。
今はウエスカのため、いずれJリーグで…
今はウエスカを残留させること、トップリーグで戦い続けることが優先。その上で、いつかJリーグに復帰することも…… 【Getty Images】
苦労している部分というのは、そこまで……。正直、僕はドイツでも苦労したときもありましたし、イングランドでも苦労した時期がありました。でも時間が経てば慣れてくる。もっと若いころにスペインに来ていれば、もっと可能性があることも考えられたと思いますが、今の自分の状況だと、1年1年が勝負だと思っています。今はこの1年がダメだったら終わりという気持ちでやっているので、難しい部分はあります。
初めて日本から海外に出たり、例えばドイツでプレーしていた選手がいきなりスペインに来たりとかだと、すぐに活躍するのはやっぱり難しいのかなと。自分の特徴をスペインサッカーに合わせていかないといけないので。そういう部分はみんなすごく苦労しているんじゃないですかね。
僕もラ・リーガ2部でプレーしたときも最初は苦労しました。今自分が抱えている問題は大したことじゃなくて、僕自身の実力であったり、結果を残すところで苦労していますけど、それ以外では溶け込むことも含めて苦労だとは思っていません。ただ、スペインですぐに結果を出すのは、なかなか難しいものがあるのではないかと思っています。
――今までの実績を振り返ってどう感じますか? また今後は何を目指していくのですか? キャリアの最後にJリーグに復帰する可能性は?
これまでのサッカー人生、キャリアを振り返ることはあまりないです。プレミアリーグで優勝したり、ウエスカでラ・リーガ2部優勝したり、たくさんの経験をさせてもらいました。ドイツでも2ケタ得点をしたり、個人的にも活躍できたというシーズンがあったりしました。
すごく光栄な実績というか、結果がついてきました。ただ、海外でプレーするということに対しては、それ以上にたくさん苦労もしてきました。環境も違うし、文化も違うし、そういうのも含めて、何が起きてもブレない考えが身についてきたのかなと思います。そういう過去を、これはできたな、あれができたな、とあまり振り返らないタイプなので。
正直、今もウエスカのため絶対に残留するという気持ちで常にプレーしています。この先どうなるかとか、昔はこうだったのになとかはあまり考えないタイプですね。それよりもトップリーグで、ヨーロッパでやり続ける。それが今の自分の夢ですね。その後、Jリーグで育った選手で、Jリーグを誇りに思っているので、いずれは帰りたいなとも思っています。