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ブンデスリーガ特集2020-21
陽気なお調子者たちに支えられるクラブ
1FCケルン、熱狂と凋落の歴史

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今季、『ラインダービー』でボルシアMGに勝利して歓喜する1FCケルンの面々
今季、『ラインダービー』でボルシアMGに勝利して歓喜する1FCケルンの面々【Getty Images】

 過去にブンデスリーガを2度制し、DFBポカールも4度獲得したドイツの名門1FCケルン。そんな彼らがたどった歴史は、ケルンという街の文化やその街の人々の気質なども折り重なり、波乱万丈の道のりを歩んできた。陽気でお調子者が多いとも揶揄(やゆ)されるサポーターに支えられるケルンは、その紆余曲折(うよきょくせつ)な道筋にむしろ喜びを見いだしているようにも見える。このクラブが育まれた土壌、その魅力、日本人ブンデスリーガーが関わった時代、そして今後の行く末について、現地記者が深い思い入れを抱いて綴(つづ)る。

試合前30分の熱狂

コロナ禍以前、ケルンのスタジアムは熱狂的なサポーターで埋まった
コロナ禍以前、ケルンのスタジアムは熱狂的なサポーターで埋まった【Getty Images】

 少し前のことになるが、1990年イタリアワールドカップの西ドイツ代表優勝メンバーで、現在レヴァークーゼンの常務取締役を務めるルディ・フェラーが言った伝説的な冗談がある。レヴァークーゼンはライン川流域の大都市ケルンの隣にある小さな街で、地理的に言うと、この二つの街を隔てるのはいくつかの小麦畑だけである。しかしサッカー的に言うと、ケルンとレヴァークーゼンでは世界が違う。いつものようにレヴァークーゼンがアウェーの地でケルンに勝った後、フェラーは、「ここの客は試合前30分のために金を払うのだと思う」と言った。


 フェラーのこの一言は意地の悪い意味合いが込められているのと同時に、少なからず真実も含まれている。ケルンのホームスタジアムである『ラインエネルギー・シュタディオン』はドルトムントの本拠地である『ジグナル・イドゥナ・パルク』と並び、ブンデスリーガで最も雰囲気が良い場所だと言われている。試合前に5万人の観客がカーニバルの歌を大合唱する場にいることは、忘れがたい体験となる。しかし、そんな魅力的な雰囲気はボールが転がるとすで終わっているというのが、“フェラー発言”のエッセンスである。


 ケルンはブンデスリーガで最も大衆音楽的佇まいを醸し、ひょっとすると最もクレイジーなクラブであるかもしれない。かつてケルンを率いた名将、ヘネス・バイスバイラーにちなんで『ヘネス』と名付けられたクラブマスコットは本物の山羊で、彼は試合中にピッチ横に立ち、コロナ禍でもこの“お守り”は必要とされて今でもライブストリームに“出演”している(ちなみに現在のヘネスは第9世代。2019年8月23日のドルトムント戦でデビューした)。


 ケルンは過去30年間の大抵を順位表の下の方で過ごし、1998年以降に6度ブンデスリーガ2部へ降格している。それでも2試合でも良い試合が続けばもう、ケルンの人々はUEFAチャンピオンスリーグの夜を夢見たりする。1988-89シーズンから2年連続でチームを2位まで導き、1996年にはもう一歩でドイツ代表監督になるところだったクリストフ・ダウム(その後、ダウムはコカイン使用が発覚して代表監督就任が白紙になった)が2006年に指揮官として再び復帰したとき、ケルンの人たちは彼を救世主として歓迎した。そして、ケルンが生み出した今世紀最高の選手であるルーカス・ポドルスキのことは今でも『プリンツ』(英語でプリンスの意)と呼んで崇める。

ダニエル・テーベライト

スポナビDo

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