苦境に喘ぐブレーメン・大迫勇也 ドイツでの本当の評価と現在地とは?

なかなか本来の質の高いプレーを発揮できない今季の大迫 【Getty Images】

 ドイツ・ブンデスリーガの第19節を終えて5勝7分7敗。勝ち点22の11位でなんとか中位に踏み留まる古豪ヴェルダー・ブレーメンで、日本代表FWの大迫勇也が苦境に喘(あえ)いでいる。

 2020-2021シーズンの今季はリーグ戦14試合出場、そのうち途中出場が8試合で未だ無得点。指揮官のフロリアン・コーフェルト監督は大迫への信頼を示しながら、それでも途中出場させて途中交代させたり、スターティングメンバーの一員としてピッチに送り出しながら前半限りで交代を命じるなど、試合によっては大迫のプレー内容を厳しく評価する采配も採っている。チーム成績の停滞は大迫のプレーパフォーマンスだけが原因ではなく、他のチームメイトのプレーにも多々問題が生じていることは明確な中で、現地メディアやチームを支えるファン・サポーターの、大迫へ向ける視線は厳しい。

 なぜ、大迫は所属チームで困難な状況に直面しているのか。地元ブレーメンで日々取材を続ける現地ドイツ人記者に、今の大迫の“現在地”を評価してもらった。

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ファンは本当の大迫を知らない

 もし、『ヴェルダー・ブレーメンで最も愛されている選手は誰か』というファン対象のアンケートがあったとしたら、大迫勇也はかなり下の順位になっていただろう。ブレーメンでの大迫は厳しい立場にある。それには2つの理由が考えられる。まず、大迫が本来持ち合わせている能力をピッチで見せることが稀(まれ)であること。そして、彼がインタビューなどの形で公の場に出ることがほとんどないからである。つまり、ファンたちは本当の大迫を知らないのだ。

 そのような選手は、良くない試合内容の後に批判を受けやすいし、実際にそうなってしまった。フロリアン・コーフェルト監督は今でも大迫を援護しているが、今冬ではないにしても、大迫との契約期間中にクラブが彼を放出する可能性は十分にある。

 2020年9月19日、ブレーメンは今シーズンの開幕となったホームでのヘルタ・ベルリン戦で1-4と完敗した。この頃はまだ、コロナ禍の影響を受けながらも制限付きで観客を入れることが認められていたため、スタジアムには8,400人のファンたちがいた。その試合の大迫は前半だけで下がったが、彼の交代アナウンスの際に多くのファンたちから拍手が起きた。まるで大迫の交代を喜ぶかのように……。その現象を受けて、コーフェルト監督はこう言った。
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