堂安、遠藤渓太ら日本選手6人の印象は? ドイツ現地記者が語る“本当”の評価

円賀貴子
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今季ブンデスリーガ1部で戦う日本人選手6人。左上から時計回りに堂安律、遠藤渓太、遠藤航、大迫勇也、鎌田大地、長谷部誠 【Getty Images】

 9月18日にいよいよ幕を開けるドイツ・ブンデスリーガ2020-21シーズンでは、久しぶりに6人もの日本人選手がプレーすることになる。当然、日本での期待も高いだろうが、実際のところ、彼らは現地ドイツで、どのような評価を受けているのだろうか。日本人選手が所属するブンデスリーガ各クラブを日々取材する現地記者に、それぞれの印象を聞いてみた。

現状では堂安は“ノーネーム”の存在

PSVからビーレフェルトに移籍した堂安。新天地で飛躍を期する 【Getty Images】

 まずは、ブンデスリーガ初挑戦となる堂安律。彼はオランダのビッグクラブであるPSVから、今季ブンデスリーガ1部へ昇格したばかりのビーレフェルトへ1年間のレンタルで移籍加入した。

 全国紙『ヴェルト』紙の特派員で、ドルトムントやシャルケを中心に西部ドイツのチームを中心に取材活動を行っているオリバー・ミュラー記者に堂安の印象を聞いてみた。ミュラー記者は子どもの頃、かつてビーレフェルトに在籍した尾崎加寿夫(1983〜88年)のプレーを実際にスタジアムで見ていた、生粋のビーレフェルトサポーターでもある。

「ビーレフェルトは今季、クラブ史上8度目のトップリーグ昇格を決めたばかりのエレベーターチーム。でも、2018年12月に就任したウーヴェ・ノイハウス監督の指揮下ではブンデスリーガ2部チームで典型的なキック・アンド・ラッシュ的戦法を用いず、コンビネーションサッカーを志向するチームスタイル」と説明する。

「昨季2部での戦いでは34試合中2敗しかせず、圧倒的に強かった。でも、1部のトップチーム相手に戦う今季は自分たちがボールを保持できなくなるだろうから、戦い方を変える必要がある。また、右サイドの秘密兵器となっていたヨナタン・クラウスが移籍してしまい、チームはスピードのある選手を探していた事情もある」

 すなわち、今季1部に昇格したビーレフェルトは主力だったクラウスの穴を埋めるため、そして戦術面に新たなバリエーションをもたらすための強化という、ふたつの側面を意図して堂安の獲得を決めたというのが、ミュラー記者の見立てだ。ちなみに、ミュラー記者は「4-3-3の右サイドでも、前線が2トップの場合でも、堂安の居場所はある」と見ている。

「チームの目標は1部残留だが、ビーレフェルトは非常に団結力のある調和の取れたチーム。クラブは17年に倒産危機にさいなまれたが、それを乗り越えて上昇気流に乗り、現在はポジティブな雰囲気に包まれている。このクラブは、堂安の今後のキャリアにとっても決して悪くないはずだ」

 ただし、ドイツのサッカーファンや各クラブのサポーターは海外サッカーにそれほど興味がなく、イングランドのプレミアリーグやスペインのラ・リーガに関心を示す程度。そうなれば、堂安の認知度はそれほど高くないのが現実だろう。

 ミュラー記者によると、「ビーレフェルトからオランダとの国境は近いし、PSVはもちろん名門だけど、現状では堂安は“ノーネーム”の存在だ」と言う。しかし、だからこそ、今後の堂安の活躍は地元やドイツ国内においてはサプライズと捉えられるかもしれない。

レギュラー争いに挑む遠藤渓太

ヨーロッパデビューを目指す遠藤渓の戦いが始まる 【Getty Images】

 もうひとり、堂安と同じくレンタル移籍でウニオン・ベルリンに加入した遠藤渓太も、ブンデスリーガは初挑戦となる。コロナ禍による取材規制のため、現在のドイツでは以前のように練習を取材したり、選手と接触することはできない。そんな中、ウニオンが実施したバイエルン州の合宿に帯同した『ベルリナー・モルゲンポスト』紙のミヒャエル・ファーバー記者は、遠藤渓に対して、こんな印象を抱いたという。
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