富樫勇樹、圧巻の成績で月間MVP受賞 千葉は優勝を目指すのが「当たり前」

大島和人

今季から千葉ジェッツのキャプテンに就任した富樫選手だが、就任後もプレースタイルに変わりはないという 【画像:スポーツナビ】

――今季の千葉はシャノン・ショーター、佐藤卓磨、赤穂雷太といった新加入選手が多くプレータイムを得ています。変化をどう感じていますか?

 今までもシュートのうまい選手はたくさんいましたが、ボールハンドリングをしてクリエイトするタイプが少なかったと思います。そこはシャノン選手の加入で幅がかなり広がっています。

 原(修太)選手や(佐藤)卓磨も、今はシュートの確率がいい。いいシュートを二人がしっかり選んで打っている部分と、チームとしてしっかりノーマークを作れている部分があります。各選手が自分の役割をしっかり理解できているからこそ、結果もついてきていると思います。

――シャノン選手はハンドラーで、富樫選手と持ち味が重なる部分もあります。富樫選手として楽になったのか、やり辛さがあるのか、そこはどうですか?

 シャノン選手が入って来た直後の練習や最初の数試合は、まだチームに慣れていない、システムを理解していない部分もありました。やり辛さではないですけれど、ちょっとリズムが違う部分を感じていました。

 でも10月後半からはお互いがやること、ボールを欲しがるタイミングが分かるようになった。最初はシャノンのところでボールが止まってしまうときもありました。今は彼がチームのシステムを完全に理解して、自分が行くとき行かないときの判断もできている。だからすごくやりやすいし、うまくいっています。

――赤穂選手と佐藤選手の加入でラインアップが大型化して、特に守備面はメリットが出ているように感じます。

(佐藤)卓磨も(赤穂)雷太も(身長が)190後半ある選手なので(マークの)スイッチがしやすくなります。卓磨は3番で、雷太は最近4番で出ることが多いですけど、二人とも「自分は何ができるか」を理解できている。しっかりスペースも取って、無理せず任せてくれるところは任せてくれますね。

今は千葉ジェッツを勝たせることに集中

――そういえば今季から富樫選手は千葉のキャプテンに就任しました。それによる変化はありますか?

 何もやってない気がします(笑)別にグチグチ言うタイプではないし、今は自分が出ていって話すこともない。試合中は思ったことをすべて言うので、それも今までと変わっていないです。「キャプテンとなって変わったこと」と言われるとないですね。

――ギャビン・エドワーズ選手も復帰して、チームはいい状態に見えます。中盤戦以降の戦いはどうですか?

 チームとしてやってきていることが積み上がって、試合の結果も出てきています。そこがB1最多の平均得点に現れているし、失点の少なさもトップクラスです。(※13日の京都戦を終えて平均74.3失点/B1で3番目)

 平均90点を取って、相手を70点台前半に抑えている現状は理想的ですね。1試合ごとに細かいミスは出ますけれど、シーズンを通して修正しながら、今後もやっていきたいです。

――千葉ジェッツは過去に2度B.LEAGUEのチャンピオンシップファイナルに進んでいますが、いずれもアルバルク東京に敗れています。B1チャンピオンへの意欲はどうですか?

 もちろん千葉ジェッツにとってはそれが当たり前で、言葉にするまでもなく、そこが目標です。昨シーズンはシーズンが打ち切りとなりましたが、そこまで2年連続でファイナルに出場して、負けてしまっています。

「あと一歩」が何なのか……。何かしらの差が1試合に出たと思います。レギュラーシーズンでどんなに勝っても、優勝しなければ意味がない。そうなれるチームを、しっかり作っていきたいです。

――コロナ禍で不確定要素はありますが、来年7月には東京オリンピックが開幕します。2月に日本国内でFIBAアジアカップの予選が開催されるという発表も出ました。代表への思いについてもお聞かせいただけますか?

 シーズンの結果が代表入りにかなり大きく影響すると思います。今までの実績もあるかもしれませんが、チームでしっかり結果を残してアピールをしたいです。目標としてきたオリンピックは近づいてきていますが、今は千葉ジェッツを勝たせることに集中していきたいです。

――最後にBリーグファン、バスケットボールファンへのメッセージをお願いします。

 こういう不安がある中で、沢山の人がバスケットを見に来て、応援してくださっています。他の国のリーグに比べたら幸せな状態ですし、皆さんの前でプレーできることを嬉しく感じています。あと代表もオリンピックが近づいて、2月に試合があるので、そちらも応援していただけたらなと思います。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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