早大米式蹴球部 前半のリード守り抜き関大撃破! 準決勝進出を決める

チーム・協会

全日本大学選手権 準々決勝 11月23日 味の素スタジアム

早稲田スポーツ新聞会(記事 沼澤泰平、写真 富澤奈央、沼澤泰平)
 
 秋季リーグ戦を2位で終え、全日本大学アメリカンフットボール選手権(全日本大学選手権)に駒を進めた早大BIG BEARS。日本一に向けて、全日本大学選手権初戦の準々決勝・関大戦に臨んだ。第1クォーター(Q)、RB安藤慶太郎(社3=東京・早大学院)のタッチダウン(TD)で先制すると、第2QにはWR吉規颯真(政経3=東京・早大学院)、WR入江優佑(商3=大阪・関西大倉)のTDなどで追加点を挙げ、17点リードで前半を折り返す。後半にもRB安藤がTDを決めるが、関大に猛追される。3点差まで追い上げられたが、何とか逃げ切り勝利。準決勝に進出した。

2TDを決め、この試合のMVPに輝いたRB安藤 【早稲田スポーツ新聞会】

 早大レシーブで試合開始。試合はいきなり動く。オフェンス最初のプレーで、QB八木義仁副将(政経4=東京・早大学院)からスクリーンパスを受けたRB安藤がディフェンスを抜き去り疾走。そのままエンドゾーンまで駆け上がり、試合開始22秒で先制に成功する。お互いにオフェンスがパントで攻撃を終え、再び迎えたディフェンス。相手にパスプレーを決められ自陣に侵入される。しかし、ここでDB木村大地(法4=東京・早大学院)がパスをインターセプトしターンオーバー。ビッグプレーで攻撃権を得た早大は、QB八木副将からWR松野雄太朗(社3=東京・早大学院)へのロングパスが通り敵陣10ヤード付近まで進む。第2Qに入り、TDまではいかなかったがWR平田裕雅(文4=東京・早実)のフィールドゴール(FG)で3点を追加した。

 ディフェンスのフロント陣の頑張りもあり攻撃権を得た早大オフェンスは、相手の反則で敵陣に侵入。次のプレーでQB八木副将からのパスをWR吉規が半身でキャッチすると、そのまま反転して駆け上がりTD。さらにキックオフではDB日高凌大(法2=東京・早大学院)がスクイブキックを蹴り相手がボールをファンブルすると、LB安藤龍生(法3=東京・早大学院)が素早くリカバー。再び攻撃権を得ると、ランプレーを中心に前進し、敵陣に入るがWR平田がFGを失敗し無得点。それでもディフェンスが相手をスリーアンドアウトに抑え、この試合6回目の攻撃に移る。このオフェンスシリーズでもQB八木副将がフリーのWR入江にパスを投げ込むと、WR入江はそのままエンドゾーンに一直線でTD。24-0と相手を圧倒する。第2Q終盤、相手のパスオフェンスに対応できず、自陣レッドゾーンに侵入を許す。最後は相手のエースレシーバー・溝口駿斗(4年)にTDを決められ、24-7で前半を折り返した。

TDを決めたWR吉規 【早稲田スポーツ新聞会】

TD後、セレブレーションをするWR入江(写真右) 【早稲田スポーツ新聞会】

 早大キックで後半開始。相手オフェンスのランに苦戦し、1stダウンを更新され続ける。さらにランプレーで押され、自陣2ヤードまで進まれる。それでもディフェンスが意地を見せ、4thダウンギャンブルまで持っていくが、最後にTDパスを決められリードは10点に縮まる。そして迎えた後半最初のオフェンスでは、ボールを受けたRB安藤が左に流れると、誰にも止められないスピードでサイドラインを駆け上がる75ヤードのTDラン。またしても1プレーで得点を決め、相手に傾きかけた流れを断ち切った。その後はお互いに無得点で31-14と、17点リードで勝負の最終第4Qに突入した。

 相手の好パントリターンで自陣からのディフェンスとなった早大は、2度1stダウンを更新され、自陣レッドゾーンに進まれる。そしてパスプレーでTDを決められ、再びリードは10点差に縮まる。流れを取り戻したい早大だったがパス失敗、ランではヤードを稼げず、すぐに相手に攻撃権を譲ってしまう。相手QBのスクランブルで1stダウンを更新されると、さらにパスプレーで早大の反則を取られ自陣に侵入される。次のプレーで30ヤードのTDパスが決まってしまい、ついに31-28と、3点差まで追い上げられる。試合時間残り6分、オフェンスはランプレーで時間を使いながら前に進む。RB長内一航(文構2=東京・早実)のランで大きく1stダウンを更新すると、続くプレーでもRB安藤が20ヤード近く進み、ここで関大にタイムアウトを全て使わせる。TDまでは持って行けず、WR平田が34ヤードのFGを蹴るが、ボールはゴールポストに当たり惜しくもノーゴール。試合残り1分5秒、すべては敵陣20ヤードからのディフェンスに託された。パスプレーによって2連続で1stダウンを更新され、迎えた敵陣48ヤードからのラストプレー。相手レシーバーに目掛けて投げられたパスをDB粕田俊(商4=東京・早大学院)がカットし、試合終了のホイッスルが鳴った。31-28で勝利を飾った。

パスカットで勝利を決めたDB粕田 【早稲田スポーツ新聞会】

 前半のリードを守り切り、見事勝利した早大BIG BEARS。5月に行われた早関定期戦では13点リードからの引き分けだっただけに、春のリベンジを果たし、シーズンを通して成長を実感できた試合となった。翌日の全日本大学選手権の試合結果により、準決勝の相手は関西王者・立命館大に決定した。甲子園ボウル出場への大きな壁となるが、日本一に向けて、避けては通れない道である。この1週間で最高の準備をして、強敵相手に立ち向かっていきたい。

コメント

髙岡勝監督(平4人卒=静岡聖光学院)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 思いがけず慶太郎(RB安藤慶太郎)のTDで始まれたのは最高の出だしでした。前半は我々のフットボールでリードして、後半は耐えに耐えてぎりぎりのところで勝ったというところで問題点も多く出たので、準決勝に向けて良い準備をしたいと思います。

――オフェンスでのラインのマッチアップについては

 今日は本当にOLが頑張ってくれました。何回かロスタックルはありましたが、非常にパスプロテクションも良かったですし、OLの成長を感じられました。

――前半はQB八木選手のロングパスも良く決まっていましたが、そこに関してはいかがでしたか

 八木の出来が今日の試合のポイントになってくると思っていましたが、本当に安心して見ていられました。

――後半は何とか逃げ切りましたが、最後の1分のディフェンスを振り返って

 尻上がりに須田君(須田啓太、関大4年)の調子が上がっていたので、残り時間が微妙なところで厳しかったですが、DBのメンバーが良く耐えてくれました。

――春の定期戦では13点リードから追いつかれての引き分けでした。チームの春からの成長は感じましたか

 春の試合が頭をよぎりましたが、最後パスカットできたのは夏合宿、リーグ戦での成長が成果として出たので嬉しく思います。

――準決勝の意気込みをお願いします

 リーグ戦から一戦必勝でやってきましたので、1週間という短い準備期間ですが、しっかり準備して大阪の地で早稲田のフットボールをしたいと思います。

OL小林亮生主将(先理4=埼玉・早大本庄)

――試合前、選手たちにどのような声掛けをしましたか

 自分たちのやってきたことを出せば勝てるという自信はあったので、ファンダメンタルを信じてやろうと言いました。

――今日の試合を振り返っていかがですか

 オフェンスに関しては用意してきたプレーがしっかり機能して、自分たちのやりたいことができたと思います。春(の関大との定期戦)は相手のDLにかなり負けていたのですが、自分そしてチームの成長を感じられる一戦になりました。

――関大のDLとのマッチアップについて、具体的に成長できたところは

 関大のDLのスタメンが52番と96番の選手だったんですが96番の選手は欠場していて、52番が相手だった中で、パスラッシュで押し込まれないとか、多少やられていたかもしれないですがしっかりブロックできたと思います。その後52番の選手が途中で下がっていって、メンバーが変わった中でもしっかり戦えました。

――オフェンスでチームを勝たせることができました

 今まで早稲田はディフェンスのチームと言われていて、ディフェンスを信頼していますがオフェンスをやっている身としてはやっぱり自分たちで勝たせたいという気持ちがありました。オフェンスリーダーの飯田(星河、法4=東京・早大学院)を筆頭に、攻めの気持ちを持ってやっていこうと言っていたので今日はそれができて良かったです。

――準決勝への意気込みをお願いします

 今日の試合で成長を感じたところは自信を持っていいと思いますが、決して浮かれずに1週間自分たちのやることをやるだけなので、1週間徹底して準備したいと思います。

QB八木義仁副将(政経4=東京・早大学院)

――試合を振り返っていかがですか
 試合前からしっかり準備して、自分たちのやるべきことをやれば勝てると自信を持って臨んで、思い通りの結果を残せてよかったです。

 昨年の6月23日に、ワセダクラブのフラッグフットボールの中学2年生の茶谷奏太君が亡くなっていて、今日はその月命日でした。2年前の早慶戦、彼は一時退院していて、見に行きたいと言ってくれていたのですが中止になってしまってそれは叶わず。そのまま残念ながら亡くなってしまって。なんとかBIG BEARSが勝っているところを見せたかったのですがそれも叶わず、ただ今日が月命日で、見守ってくれていたのかなという風に思っています。

――今日のオフェンスのテーマを教えてください

 とにかく自分たちがやってきたことを信じて、仲間を信頼してプレーするということを掲げて頑張りました。

――ロングパスも多数通っていましたが、前半のオフェンスについてはどのように感じていますか

 前半はとにかく用意してきたことをそのまま、自分たちがミスなくやればハマるなというのが最初に分かったので、あとはOLとレシーバーを信じて、腕を振り切るだけでした。

――追い上げられても冷静にドライブしていた印象でした

 後半、もう1本か2本取れていれば、もう少し楽だったのかなとは思います。ただ、自分たちのやるべきことに集中するということを僕だけではなく他のメンバーにも話しながらプレーできたことが、後半でも続けてプレーできた要因かなと感じています。

――試合後、関大の須田啓太選手(4年)とお話されていましたが、どういった会話をされましたか

 春の定期戦の際に啓太君の家に泊まっていたので「また遊びに来てや」という風に言ってくれたのと、あとは「甲子園行ってくれ」と声をかけてもらいました。

――準決勝への意気込みをお願いします

 1週間で準備をしなければならないのですが、これまで積み上げてきたものをしっかり出しきれるように、自信を持って臨めるように全員で準備していきたいと思います。

RB安藤慶太郎(社3=東京・早大学院)

――試合を振り返っていかがですか

 まずは試合に勝てたこと、日本一に一歩近づけたことが何より嬉しいです。また、オフェンス全体としては今シーズンの中でもトップと言っていいパフォーマンスを発揮できたので、ここでまた自信がついたと思います。

――最初のプレーでTDを決めました

 試合の序盤からチームに勢いを持たせる良いプレーだったと思います。ボールをキャッチして前を向いたら、みんながブロックしてくれていたので、あとは持ち味のスピードで走り切るだけでした。

――後半にも同じようなかたちでTDを決めましたが、ロングランで複数のTDを決められた要因は

 もちろんブロッキングとコース取りがマッチしていたのはありますが、ロングランに走り慣れていることが最大の要因だと思います。日頃の練習で独走し慣れていますし、100ヤード近い距離をトップスピードで走る練習をするようにコーチからも言われています。

――対談ではセカンドエフォートに注目して欲しいと仰っていたが、そこに関して今日の試合ではどうでしたか

 その点では文句なしのパフォーマンスができたかなと思っています。自分で思い返しても、足をかいて前に進み続けたプレーが多かったように感じます。

――準決勝の意気込みをお願いします

 今までみんなで積み上げてきたものを出し切るだけだと思うので、必ず勝って甲子園ボウルに繋げたいと思います。
僕はいつも通り楽しく走ってきます。
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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