八村塁の思い、そして高校生に伝えたい事 「バスケをやれることに感謝している」
ワシントン・ウィザーズのキャンプインを前に、リモート取材で高校生へメッセージをくれた八村塁 【Getty Images】
高校野球の世界では春の選抜大会中止が伝えられると、出場を決めていた学校の選手らは、人目をはばからずテレビカメラの前で涙し、それを袖でぬぐった。「まだ、夏がある」。そんな声もあったが、その夏の大会もやがて中止となった。「仕方がない」という言葉では、慰めにもならない。3年生にとってはその機会が、二度と訪れることはない。
バスケットでもインターハイが中止となったが、それでも一部の高校生は救われたのではないか。12月23日から、高校生にとっては最大の目標であるウインターカップ(全国高等学校バスケットボール選手権大会)が、開催されるからだ。
八村の語る「感謝」という言葉の意味
「僕はまず、こういう深刻な状況の中で、バスケをやれるということに感謝している」
ウインターカップを前にした高校生を意識しつつ、こういう時だからこそ自分に言い聞かせていること、あるいは言い聞かせてきたことはあるか? と尋ねたことに対する答えだが、当たり前ではないからこそ、なぜ今、コートに立てるのか。なぜ、バスケットができるのか、そのことを改めて考えてほしいーーそんな思いがにじんだ。
「そこが僕としては一番大きいと思う」
感謝という真っすぐな言葉に込められた意味も、軽くない。多くの人の尽力で、ここまで来た。
もちろん、開催が決まっているとはいえ、例年のウインターカップとは様相が異なるだろう。大会前半は無観客。男子は準々決勝から、女子は準決勝から有観客となる。そもそもここへ至る過程も、これまでとはまるで異なったはずである。さまざまな制約のなかで、十分な準備・練習ができなかった、というケースも少なくなかったのではないか。その中でどうベストを尽くすかだが、そうした姿勢が問われるのは決して、今大会に限った話ではない。現在進行形であり、むしろ、これからの未来だ。
八村もこう言っている。
「限られることはあると思うんですけど、自分で何かしら見つけて、そこでやれるかということが一番、これからの自分にとってカギになっていくと思う」