青年監督と野心的な選手が融合するチーム 独自路線で輝くRBライプツィヒの魅力

島崎英純
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創立して間もない新興クラブ

ドイツ国内、そしてヨーロッパシーンで急速に存在感を高めつつあるRBライプツィヒ 【Getty Images】

 このクラブの正式名称は『ラーゼンバルシュポルト・ライプツィヒ(RasenBallsport Leipzig)』(以下、RBライプツィヒ)。ドイツ語で『芝生の球技』と訳される単語の頭文字を取ってRBライプツィヒと命名したのは、世界的な清涼飲料水メーカーとして名高いレッドブル・グループだ。一方で、原則的に企業名をクラブ名に冠することを禁じているドイツ・ブンデスリーガの規約を回避する名目で、企業名をあえて連想させる名称をつけた新興クラブに対するドイツのサッカーファン・サポーターの風当たりは強い。

 レッドブル・グループが企業主導で当時オーバーリーガ(ドイツ5部に相当)に在籍していた旧東ドイツ・ライプツィヒの小クラブ、SSVマルクランシュタットのライセンスを買収したのが2009年。そこから新たなクラブを創設し、わずか7シーズンでドイツ最高峰の舞台であるブンデスリーガ1部へと上り詰めた。そして現在は、トップリーグでバイエルン・ミュンヘン、ボルシア・ドルトムントといった強豪と肩を並べて優勝争いをするまでに成り上がった。その人工的で急速な立身出世ぶりも他クラブのファン・サポーターから忌み嫌われる要因なのだろう。

 しかし、実際にRBライプツィヒのホームスタジアムであるレッドブル・アレナへ赴くと、そこには熱狂的なサポーターが生み出す魅力的な空間がある。残念ながら現在は新型コロナウイルスの影響で無観客試合などを強いられているが、それでも外部が何と言おうとも、少なくとも今のRBライプツィヒは地元サポーターから絶大な信任を受ける、地域に根ざしたクラブなのだ。
 ライプツィヒ市内中心部の中央駅から徒歩で住宅街を抜けた先にあるスタジアムは、上空から俯瞰して見ると異質な形状をしている。ここは旧東ドイツ時代の1956年に完成し、かつては約10万人を収容するドイツでも最大規模を誇るスタジアムだった。しかし老朽化によって00年から04年にかけて改修工事が施され、現在の44345人収容へと落ち着いた。

 ただ、今でも旧スタジアムのスタンドは一部残されていて、サポーターたちは楕円状の四方に設けられた入口から旧スタジアムのスタンド階段を下り、改修によって空洞化したお堀のような谷を渡って、その内部に格納された新スタジアムへと入っていく。スタジアムの入場ゲートは限られ、階段、コンコースの幅も狭いことから試合前のゲート前は長蛇の列になっていて、なかなか自身の座席へ到達することができない。ちなみに筆者が初めて観戦目的で現地へ訪れた際、試合開始1時間前に到着したのに、座席にたどり着いたときにはキックオフから約3分が経過していた。
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著者プロフィール

1970年生まれ。東京都出身。2001年7月から06年7月までサッカー専門誌『週刊サッカーダイジェスト』編集部に勤務し、5年間、浦和レッズ担当記者を務めた。06年8月よりフリーライターとして活動。現在は浦和レッズ、日本代表を中心に取材活動を行っている。近著に『浦和再生』(講談社刊)。また、浦和OBの福田正博氏とともにウェブマガジン『浦研プラス』(http://www.targma.jp/urakenplus/)を配信。ほぼ毎日、浦和レッズ関連の情報やチーム分析、動画、選手コラムなどの原稿を更新中。

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