ビーレフェルトの街に根付く オザキへの親愛と日本人選手への思い
アルミニア・ビーレフェルトのサポーター。彼らと日本人選手には深い結び付きがある 【Getty Images】
当時の者たちが抱いた彼への思いは現代のアルミニア・サポーター、そしてビーレフェルトという街に着実に根付いている。そして今は、堂安律という新たなる日本人選手が、その期待に応えようとしている。
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『アルミニアは気が狂いでもしたのか?』
現在60歳の還暦を迎えた尾崎は、ドイツ・ブンデスリーガでプレーした2人目の日本人選手である。どの世界でも『2人目』を思い出せる者はなかなかいない。人類で2人目に月へ着陸した人物は誰だっただろうか? もちろん1人目のニール・アームストロングのことを知っている者は多い。しかし、エドウィン・“バズ”・オルドリンという人物の名前を思い浮かべられる者はどれだけいるだろうか。
尾崎のケースもこれに似ている。1977年に日本サッカーリーグの古河電工から1.FCケルンへ移籍し、のちにヘルタ・ベルリンとヴェルダー・ブレーメンでもプレーした奥寺康彦のことは、ドイツの多くのファンが覚えている。しかし、83年にブンデスリーガへやってきた尾崎を知るサッカー好きたちは、おそらくドイツ全国では多くないだろう。しかしビーレフェルトの街では、ふたりの認知度が全く逆になる。
アルミニアのファン・サポーターたちの中には、尾崎が初めてこの街にやってきた日のことを覚えている者もいる。なぜならば、尾崎がここに来たことに、彼らはとても驚いたからだ。
「とてもセンセーショナルだったし、最初は全く信じられなかったよ。日本人選手がアルミニアに来るなんて……」
当時の“アルム”(ビーレフェルトのホームスタジアムの愛称)に通い、現在もこのクラブのサポーターであり続ける56歳のラルフ・シュトルック氏は、そう言って過去を振り返った。
「当時はみんなで言ったものだよ。『アルミニアは気が狂いでもしたのか?』とね」
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