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ブンデスリーガ特集2020-21
無観客の同州対決はドルトムントに軍配
堂安不発のビーレフェルト、対策実らず

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12年ぶりの対戦はアウェーのドルトムントが手堅く勝利
12年ぶりの対戦はアウェーのドルトムントが手堅く勝利【Getty Images】

 試合当日、ヴェストファーレン州北東部に位置するビーレフェルト市内中心部は静かだった。最寄りのビーレフェルト中央駅から徒歩でスタジアムへ向かう道中も整然としていて、閑静な住宅街の中を貫く小路の人影もまばらだった。おそらく去年や今年の冬までならば、スタジアムの傍にある拓(ひら)けた公園広場にはネイビーのユニホームをまとった人々が集結していただろう。


 しかし、この日の広場ではマスクで口元を覆った老人たちがベンチに座って談笑している姿が見られるだけだった。この光景はビーレフェルトの町中に限ったものではない。2020年10月末日のドイツ国内は、週明けに迫ったコロナ禍による部分的制限措置、レストランやバー、映画館などの娯楽施設などの短期閉鎖が間近に迫っていた。


制限措置直前の一戦

 20-21シーズンのドイツ・ブンデスリーガは第5節までを消化し、今後もスケジュール通りに試合開催が予定されている。しかし激増するウイルス感染者数の推移を鑑みて、ドイツ政府はブンデスリーガを含めた国内プロスポーツの無観客試合限定での開催を指示した。これにより、12季ぶりに相まみえることになったアルミニア・ビーレフェルトとボルシア・ドルトムントの同州対決は、残念ながらファン、サポーター不在でのゲームを強いられた。


 それでも、26515人収容の『シュコ・アレーナ』は長くブンデスリーガ2部、もしくは3部での戦いを強いられながらもたくましく息づいてきたホーム、ビーレフェルトの威厳を象徴するたたずまいがあった。無観客試合独特の静謐(せいひつ)な空気はその雰囲気を増幅させているようで、バイエルン・ミュンヘンに次いで国内屈指の実力を誇るアウェーのドルトムントも、試合前はその空気に包まれながら粛々とウオーミングアップに励んでいるように見えた。


 かたやビーレフェルトは、久方ぶりに対峙(たいじ)する相手への警戒を強めていたように思う。その証拠に指揮官のウーヴェ・ノイハウス監督は昨季の2部の戦いから一貫して用いていた4-1-2-3ではなく、今回は5-3-2システムを採用した。おそらくこれは、スピーディーでパワフルなドルトムントのサイドアタックを封じる目論見からだろう。


 本来はサイドアタッカーと称される右のセドリック・ブルンナーと左のアンデルソン・ルコキが終始バックラインと横並びになる5バックを形成したのはそのためで、まずは専守防衛でアウェーチームの勢いを削ぐことを優先したと思われる。

堂安が担ったタスク

新型コロナウイルス流行の第2波によって、今試合は無観客試合となった
新型コロナウイルス流行の第2波によって、今試合は無観客試合となった【Getty Images】

 今季、オランダ・エールディビジのPSVアイントホーフェンからビーレフェルトにレンタル移籍中の日本代表MF堂安律も、ノイハウス監督のゲームプランによって役割が変化した。直近の2試合は彼が得意とする右ウイングで起用されたが、今回は右のインサイドハーフで構えた。彼のタスクはアンカーと左インサイドハーフとの計3人で形成する中央エリアのディフェンスブロックで、できるだけ味方バックラインと近接して自陣スペースを埋め、まずは相手の攻撃を受け止めることに注力していた。


 もとより前半のビーレフェルトはチーム全体がリトリートに徹していたため、攻撃手段は2トップの一角であるファビアン・クロス目掛けて蹴り込むGKステファン・オルテガのフィードボールくらいしかなかった。実際、堂安に訪れたチャンスは前半半ばの一度だけ。カウンターから3対2の局面が生まれて味方からスルーパスを受けたが、ペナルティーエリア直近で相手DFにリカバーされて味方へのパスを選択したところをカットされて得点を逸した。その瞬間、静寂に包まれていたスタジアムの四方からは小さく落胆のため息がこぼれた。

島崎英純

1970年生まれ。東京都出身。2001年7月から06年7月までサッカー専門誌『週刊サッカーダイジェスト』編集部に勤務し、5年間、浦和レッズ担当記者を務めた。06年8月よりフリーライターとして活動。現在は浦和レッズ、日本代表を中心に取材活動を行っている。近著に『浦和再生』(講談社刊)。また、浦和OBの福田正博氏とともにウェブマガジン『浦研プラス』(http://www.targma.jp/urakenplus/)を配信。ほぼ毎日、浦和レッズ関連の情報やチーム分析、動画、選手コラムなどの原稿を更新中。

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