連載:遠藤保仁 632分の1の真実

遠藤保仁が試合で意識する“入り口”とは 流れには逆らわない、引き寄せるもの

二宮寿朗
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第4回

チームメートには多くを要求することはなく、要点をだけを伝える。その方が選手は忘れずに、意識してプレーできるからだ 【画像:スポーツナビ】

 ハーフタイムになると、遠藤保仁はシャワールームに直行する。

 汗を流してリフレッシュするだけではなく、ユニホームはもちろんのこと、すね当てもインソールもすべて替える。ずっと続けてきたルーティンだ。

「気持ちをリセットできるんで。体を一度冷やして、全部を着替え直して。そこから監督の話を聞いて、グラウンドに出ていくっていう感じですかね」

「もう少し前からボールを奪っていこう。闘う気持ちを出して、このダービーをモノにしていこう」

 ガンバ大阪の先輩でもある宮本恒靖監督の話を静かに聞き入れ、リセットして後半の舞台に向かう。このときチームメートからも戦術的な確認を求められることはあるが、多くを要求することはない。

「選手って、ああだこうだって言っても結構忘れてしまうんですよ(笑)。だからもう要点だけですね。セレッソ戦とは違いますけど、例えばディフェンスの選手に“3バックで回してうまくいかないようなら俺が1回下がるから、それでリズム出てきたら3バックで回してほしい”とかね。監督が言ったことを踏まえながら、僕としては聞かれたら1つか2つくらい言うだけ」

 ハーフタイムの雰囲気は、ガンバ特有なものがあるそうだ。どんな試合展開だろうがドシッと構える遠藤の存在感はやはり大きいと、倉田秋は言う。

「ヤットさんって試合前だろうがハーフタイムだろうが、常に冷静で落ち着いている。それが周りにも浸透していて、落ち着ける雰囲気がつくれているようには思います」

「“入り口”を見逃さないように」

 落ち着いて反撃を。

 1点ビハインド、ガンバは後半開始からギアを上げてくる。

 パスを回して前に人数をかけ、ペナルティーエリア内に侵入していく。7分には宇佐美貴史の右CKにファーで待ち受ける倉田がボレーで合わせるが枠を捉えることはできない。

 徐々にガンバのペースになってくる。

 流れというものは、逆らうものではない。つかむタイミングを間違えず、引き寄せていくもの。それが遠藤のポリシーと言えるのかもしれない。

「流れが相手にあるときは仕方がない。そのうち来るでしょって僕は思うんで。そういうとき“入り口”を見逃さないようにはしています。そこを間違えると引き返せなくなってズルズルといってしまいますから」
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著者プロフィール

二宮寿朗

1972年、愛媛県生まれ。日本大学卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社し、格闘技 、ラグビー、ボクシング、サッカーなどを担当。退社後、文藝春秋「Number」の編集者を経て独立。 様々な現場取材で培った観察眼と対象に迫る確かな筆致には定評がある。著書に「 松田直樹を忘れない」(三栄書房)、「中村俊輔 サッカー覚書」(文藝春秋、共著)「 鉄人の思考法〜1980年生まれ、戦い続けるアスリート」(集英社)など。課金制スポーツサイト「SPOAL(スポール)」初代編集長。

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