ひとり親家庭の子ども招きウィンターキャンプ 大阪体育大学生が寝食ともに 「体験格差」解消めざす

大阪体育大学
チーム・協会
 ひとり親家庭の子どもを対象にしたウィンターキャンプ2025が1月25、26日の1泊2日、大阪府貝塚市の大阪府立少年自然の家で行われた。「誰一人取り残さない環境教育」をテーマに、28名の小中学生が野外レクリエーション、野外炊事、キャンプファイヤー、ハイキングなどのキャンプ活動を楽しみ、大阪体育大学スポーツ科学部・德田真彦講師(野外教育)のゼミ生、野外活動部、レクリエーション授業の受講生ら学生13名が指導にあたった。

指導した学生と德田真彦講師(2列目右端) 【大阪体育大学】

 子どもの学習意欲や課題解決能力は、学校外での体験を得る機会が多いほど向上すると指摘されている。しかし、経済的に余裕のある家庭の子どもたちは自然体験活動に豊富に参加できる一方、様々な理由で生活に余裕がない家庭の子どもたちには自然体験を行う余裕がないのが実情で、「体験格差」は社会問題となっている。
 このため、2020年ごろから自然体験活動の体験格差解消に向けた動きが始まり、德田講師は体験格差解消に向けた取り組みの有効性や意義について研究を進めている。研究の過程で、同様に体験格差問題に取り組んでいた公益社団法人「日本環境教育フォーラム」の加藤超大事務局長と知り合い、2022年からウィンターキャンプを実施している。
 指導にあたった学生は事前研修として、加藤さん、株式会社Think&Camp代表の原田順一さん、明治大学の吉松梓さんの講義を受けてキャンプに臨んだ。

事前研修として加藤超大さんから講義を受ける学生 【大阪体育大学】

キャンプ1日目】
 開講式後の野外レクリエーションでは、子どもたちはフライングディスクを使った遊びやかけっこなど自然の中でいっぱい走り回り楽しんだ。野外炊事では、調理、薪割り、火おこしなど慣れない作業が多くあったが、リピーターの参加者がリーダーシップを発揮しつつ、みんなで協力して「すきやき、チョコバナナ」を作り、どの班もおいしく食べていた。1日目最後のプログラムはキャンプファイヤー。歌ったり踊ったり、残った火を使って焼きマシュマロをつくったりと、みんなで火を囲み楽しい時間を過ごした。

野外炊事では、薪を割って火を起こし、飯ごうでご飯を炊く 【大阪体育大学】

カールトンドッグ。牛乳パックの中にアルミホイルで巻いたホットドッグを入れて、パックが燃え切ったら食べごろに 【大阪体育大学】

1日目の夕食はすき焼き。丁寧に豆腐を切る 【大阪体育大学】

キャンプファイアー。歌って踊って楽しい時間に 【大阪体育大学】

【キャンプ2日目】
 午前6時に起床し、部屋の掃除などを済ませ朝のつどいを行った。その後のハイキングでは施設展望台(標高約600m)を目指した。傾斜の厳しいところもあり、特に低学年児童には大変な行程だったが、高学年生や中学生がうまくサポートしながら展望台まで登り切った。頑張って登ったご褒美に、きれいな景色を見ることができた。最後のプログラムも野外炊事で、1日目夕食、2日目朝食を経て3回目ともなると、みんな手際よく、連携して野外炊事を行う姿が印象的だった。2日間天候に恵まれ、ケガや事故もなく、自然の中でおもいっきり楽しんだ2日間となった。

ハイキング。傾斜が急で、低学年児童を高学年や中学生がサポート 【大阪体育大学】

ゴールの展望台。頑張って登ったご褒美に、きれいな景色が広がる 【大阪体育大学】

 ウィンターキャンプは仕事や育児に追われて疲弊しがちなひとり親家庭の保護者にとって、レスパイト(休息)の機会になればとの想いを持って開催している。キャンプ後、保護者から「小学校からもらうキャンプのチラシには何万円もの費用が書かれ参加できなかった。このような機会はありがたい」「子どもが生き生きとして帰ってきたことがうれしい」「久々にゆっくりご飯や掃除ができた」「下の子とゆっくりできた」などさまざまな感謝の声が寄せられた。德田講師は「自然体験活動の機会の必要性を強く感じるとともに、これからも継続・発展に向け尽力していきたいと思う。何より、学生が様々な社会課題と出会い、向き合う経験が、日本における社会課題の解決に少しでも繋がるものになるのではないかと考えている」と話している。

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