柿谷曜一朗は高杉亮太をどう抜いたのか? 2018年に生まれた美しいゴールを振り返る
前編
2018年のこどもの日に生まれた美しいゴール。ドリブルで仕掛けた柿谷と対峙したDFの高杉は、その時何を考えていたのか 【セレッソ大阪/Jリーグ】
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テクニックが詰まった“柿谷らしい”ゴール
細かいステップと鮮やかな切り返し、そしてゴールネットを揺らすまでの流れるような一連の動き。いかにも柿谷らしいテクニックが詰まった、美しいゴールだった。この場面のハイライト映像はYouTubeのJリーグ公式チャンネルで見ることができるので、ぜひ確認していただきたい。そのほうが、ここから先の柿谷と高杉の言葉をより楽しめるはずだ。
覚えていない2018シーズン
初のJ1での戦いとなった高杉は、このシーズンを「よく覚えていない」と語った 【(C)J.LEAGUE】
長崎はこのシーズン、クラブ史上初のJ1で第6節まで未勝利と苦しんだあと、第7節から4連勝と波に乗った。その後に2連敗を喫してC大阪戦を迎えるが、「チーム状態が悪いとは思わなかった」と高杉は言う。もっとも、「J1で十分にやれる」という安堵感もなかった。「自分たちの実力は理解していたので、かなり冷静だったと思います。何ができるのか、何をすれば勝てるのか。通用するとかしないとかではなく、常に次の対戦相手のことだけを考えていた気がする」
確かに、柿谷にとっては悔いの残る1年だった。2018シーズン、リーグ戦では開幕戦から2試合連続ゴールと好調だったにもかかわらず、途中交代やベンチスタートが続いた。これはAFCチャンピオンズリーグとの連戦に備えたローテーションの影響もあるが、柿谷にとっては力を出し切れないと感じる試合が多かったという。柿谷は第13節までに4ゴールを挙げながら、シーズン後半は右足の内転筋を痛め、2度にわたって戦列を離脱。結局はこの長崎戦のゴールが、彼にとって18年の公式戦で最後のゴールとなってしまった。この対戦の前、C大阪は5位という好位置につけていたが、柿谷は自分たちが残している数字ほどの充実感を覚えているわけではなかった。