連載:令和のスターになるのは誰だ?〜巨人編〜

「野球を辞めようかと…」吉川尚輝の苦悩 見えてきた光、鍵は“継続力”

小西亮
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「優勝の瞬間にチームの輪に加わりたい」。吉川尚輝は2020年こそ、1年を通して活躍することを決意する 【鷹羽康博】

 地の底を這(は)うような苦悩の日々だった。巨人・吉川尚輝は昨年、開幕から11試合連続「1番・二塁」でスタメン出場したものの、痛みを抱えていた腰痛が悪化して離脱。懸命のリハビリもシーズン中の復帰はかなわず、歓喜のリーグ優勝を複雑な思いで受け入れた。

 ドラフト1位の期待を背負った1年目から毎年故障に泣かされ、もう4年目を迎えた。良い思い出のない背番号「0」から心機一転「29」に。不安を拭い去って臨む復活のシーズン。ケガとの戦いにも、センターラインを担う戦いにも、勝ってみせる。

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グラウンドに立つイメージが湧かない日々

昨年はケガで苦悩の日々を送った吉川尚輝だが、周りの支えもあり気持ちを切らさず復活への道を探った 【鷹羽康博】

――昨年は開幕してから打撃も好調で、最高のスタートを切った矢先の離脱でした。腰の状態はどうたったのですか?

 シーズン開幕前から腰に痛みはあったんですが、とりあえず限界までやってみようと。いつかは爆発するときが来るだろうなとも思っていました。良くないんですけどね……。やりながら治していけばいいかなという思いもあって。まぁ、そうはならなかったというわけです。前の年(2018年)も、8月にヘッドスライディングした際に左手を骨折して後半戦を棒に振ったので、2019年こそはやるぞって気持ちもあったんですが……。

――肉体的な痛みだけでなく、精神的にもつらかったと思います。

 マジで何もできなかったですね。長期のケガで、いつ治るかも分からない状態。球場に来ればリハビリメニューがあるので、それをやっていれば気持ちも少しは紛れました。ただ、ふとした瞬間や一人になったとき「ああ、もう野球辞めようかな」って思うことがありました。テレビで試合を見ていても、グラウンドに立つイメージが湧かない。一軍も経験したこともあるし、もう十分かなってつい思うこともありました。

――周囲のサポートも大きかったと思います。

 何をしても痛い状況だったんですが、トレーナーさんは何とか僕の気持ちが切れないように手助けしてくれました。気持ちを上げようとしてくれて。そのテンションについていけないときもありましたが(笑)。今思えば、そんなに気持ちを切らさずにできたのは、トレーナーさんたちのおかげかと。時間が経つにつれてリハビリメニューが変わり、腰もある程度良くなってきて、技術練習が増えてきたときくらいの時期に、ちょっと光が見えて、最近になって復帰のイメージがつくようになりました。
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