西岡剛が激白「戦力外は通過点」 イチローの言葉で確信できた進むべき道
「戦力外は通過点」と話す西岡剛。どのようにその境地に達したのか? 【撮影:中島奈津子】
日本一やWBC、北京五輪を経験し、MLBにも挑戦した20代。期待されながら、度重なるケガに泣いた30代前半。そして35歳を迎える今季、さらなる可能性を見いだそうとしている。プロ17年目のシーズンへと向かわせる原動力は、若かりしころの自分に対する「ある思い」にあった。
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栃木で直面する“現実”に見いだす楽しさ
NPB復帰へ、西岡剛が選んだ新天地は独立リーグの栃木。そこで得られたものとは? 【撮影:中島奈津子】
めちゃくちゃ楽しいですよ。この場所で、吸収しまくろうと思ってるんで。社会人1年目の勉強ができてるって感じですね。NPBでは何でもそろっていて、非現実的な世界にいたんやなって。ここでは水1本だって自分で自動販売機で買うわけですから。小銭を出すのが面倒くさいわけですよ(苦笑)。でも、それが現実の世界。勉強ですよね。
――関係者も、ファンも、周囲は「あの西岡剛だ」と特別な目で見ています。
それが一番、僕の刺激なんですよ。もし僕が練習にギリギリの時間に来て、ウォーミングアップからダラダラして、試合の時だけ必死にやっている姿を周りの若い子たちが見るとどうですか? NPBってそれくらいで行けるんだと思わせたくない。そして、今、NPBで戦っている選手の顔もつぶすことになるじゃないですか。やっぱりNPBってすごい場所なんだなと感じ取ってもらいたいんですよ。現実にそうなんで。
――阪神から戦力外通告を受け、引退試合も提案されたなかで迷わず現役続行を決断されました。
やめる時を自分で決められる選手でいたいと思っていました。でも、そうできなかった原因は何かと考えた時に、やっぱりケガやなと。若いうちに、体のケアとか、もっとできた部分があるんじゃないかと反省したんですよ。20代のころは何も気付けてなかった。分かろうともしなかったし、ただ日々がトントントンと過ぎてしまった。その後悔があるから、今やっているんです。
――トライアウトを受け、新天地は独立リーグを選ばれました。
トライアウトを受ける選手にはなりたくなかったですけど、そういう現状になってみると、どんな場所なんだろって経験することができました。NPBから声がかからなかったなかで、やっぱり野球を続けるんやったら上を目指した方が楽しいやろうと。それならNPBですよね。実は、海外も視野に入れたんですよ。アメリカの独立リーグや、イタリアやオランダだってある。ヨーロッパに行ったら行ったで、ヨーロッパの考え方っていうのが今後の人生のためにいい経験になるかなとも思ったんですけど、NPBを本気で目指すなら、いつ声がかかってもすぐ行けるように日本の独立リーグやなと。栃木には真っ先に声をかけていただきました。