東京2020 THE WAY to 2020
- 市川忍
- 2019年2月7日(木) 09:00
2020年東京大会そして世界に向けて、それぞれの地元から羽ばたくアスリートを紹介する連載企画「未来に輝け! ニッポンのアスリートたち」。第35回は鹿児島県出身、女子ソフトボールの川畑瞳(デンソー)を紹介する。
金メダルの記憶はないが、代表に強い憧れ

広角に打球を運ぶ柔軟なバッティングと、足の速さを生かした俊敏なプレーで、東京五輪のスター候補として注目を集めているのがソフトボール日本代表の川畑だ。
「オリンピックと聞くと、これまでテレビで見たことのあるサッカーとか、バスケットボールが思い浮かびます。そんな場所に自分も出られるかもしれない、チャンスがあるというのは正直、まだ実感していません。でも年々、周りの方から『オリンピックに出て』と言われる機会も増えて、徐々に意識するようにはなりました」
来年に迫った東京五輪で正式種目に復活するソフトボール。前回、金メダルを獲得したのは2008年の北京五輪でのことだった。当時小学生の川畑には、残念ながら五輪の記憶は残っていない。
それでも、日本代表には強い憧れを抱いてきた。
「高校(神村学園)のとき、ソフトボール部の監督が代表チームの試合動画をよく見せてくれていたんです。それを見て『自分も将来はああなりたいな』と思っていました」
16年の世界選手権でトップチームの国際大会を経験し、自分に足りないものもよく分かったという。
「日本代表に入ってまず感じたのは、一緒に戦うチームの選手のパワーとスピードですね。『今のままじゃ通用しないな』と痛感しました。代表から帰ってきて、スピード、パワーともにアップするために、ウエートトレーニングに力を入れました。まずは『ウエートの数字にこだわってみよう』とトレーニングコーチと決め、スクワットとベンチプレスを頑張りました」
最終的には以前と比べ10キロ以上も重りをアップさせて、トレーニングに励むようになった。その成果は打球の飛距離アップで顕著に表れた。日本リーグで「手応えはつかめた」と、川畑は笑顔で語る。
国際大会を経験して生まれた自信

国際大会を経験することで、自分のセールスポイントにも自信が生まれた。
「まず、海外のチームは相手のスキをつく走塁をしてきません。そこは日本の売りだし、自分もスピードや走塁での判断力を売りにしていきたい。ジャックルや相手の守備位置を見て、常に先の塁は狙いたいと思いました」
自分のやるべきことを明確にしたのも国際大会だった。
「アメリカの投手はみんな怪物だなって思いました(笑)。どのピッチャーも普通に110キロ越えのストレートを投げてくるし、その上、チェンジアップやスプリット、ライズボールと球種も豊富です。日本人が投げる同じ変化球とも、また違いました。日本で打てているボールが打てないこともありました」
タイミングの取り方、バットの軌道など、打席や相手投手、試合の状況によって打ち方を変え、対応した。“自分で判断する力”の大切さを感じたという。
そして、その厳しい勝負の駆け引きも、川畑をソフトボールにより熱中させている要因のひとつとなっている。
「そういうところも含めて、ソフトボールは奥が深くて楽しいです。ゴールがないので、探り探り、いろいろなことに挑戦しながらプレーできるのが楽しいですね」