連載:未来に輝け! ニッポンのアスリートたち
スケボー世界女王は和歌山の高校2年生 金メダル候補に躍り出た四十住さくら
世界を席巻する“初代女王”コレクター
スケートボードで快進撃を続ける四十住さくらに話を聞いた 【写真:中西祐介】
「全部“初代”で『運、ついてるなあ……』って(笑)。初代ってやっぱり違いますよね。すごくうれしいです。実は、全部初代ということはあとから気づいたんですよ。世界選手権後に高校に行ったら、先生が『絶対優勝すると思った。初代、初代ときていたから』と言ってくださったんです」
世界への足がかりとなったのは、日本選手権直後の6月に行われた、パークの世界最高峰プロリーグ「VANSパーク・シリーズ(VPS)」の初戦、サンパウロ大会だった。これまで海外大会はたったの3度、それも「バート」というハーフパイプを滑る種目にしか出場したことがなかった。それが、並みいる強豪を抑えていきなり優勝。これをきっかけに活躍の場が世界へと広がり、Xゲームズ・ミネアポリス大会3位、アジア女王、そして世界女王へと一気に駆け上がった。世界的には無名だった日本の女子高生スケーターは、一躍、東京五輪の金メダル候補となった。
海外遠征が技に磨きをかけた
スケートボードは「嫌いになったことがない」と四十住。始めた当初から夢中になって練習してきた 【写真:中西祐介】
時間を惜しまず努力を続けられるのは、彼女の大きな強みだ。日本代表の西川隆監督は、5月の日本選手権後に四十住を「非常に持ち技が多い。どちらかといえばトリッキーな感じ」と表現した。オリジナリティーが重視されるスケートボードでは、難易度や独創性が高い技(トリック)が高く評価される。負けず嫌いを自認する16歳は、“誰にもできないトリック”に対するこだわりが強い。女子選手がなかなかできない技にも果敢に取り組み、レベルを上げてきた。中には、完成まで2年かけたトリックもあるという。
海外遠征が増え、才能が一気に開花した。写真は昨年の「デュー・ツアー」のもの 【Getty Images】
「トリック自体は、できる人も多いと思うんです。でも、それをコンクリートでやるのが難しい。木だと(滑りの途中で)引っかからないけど、コンクリートだと引っかかりやすい。それに、コンクリートは転ぶと痛いし、恐怖心が違います。コンクリートで練習するほど上達できるか、ですか? そうだと思いますね」