JRA平成最後の改革は新時代への宿題か
騎手育成、売上…怠れぬ課題の追求

売り上げ増に乗って

いくつかの改革案が実施される2019年度のJRA競馬、新時代へ向けてどのような影響をもたらすのか
いくつかの改革案が実施される2019年度のJRA競馬、新時代へ向けてどのような影響をもたらすのか【写真:中原義史】

“平成最後”のキーワードを軸に、平成30年度も活況を呈したJRA。昨年の売上は2兆7950億830万4000円で、前年比101.7%という数字を残しました。


 4兆円を突破した平成9年をピークに、売上は徐々に減少。東日本大震災が発生した平成23年に約2兆2936億円まで落ち込みますが、その年を境に再び上昇に転じ、7年連続で前年比プラス、ということになっています。


 これはJRAに限らず生産界をはじめ、競馬産業全体にとっても、またファンの皆さんにとっても歓迎すべきこと。


 この活況時に、次の一手として打ち出されたいくつかの改革案が、今年度の番組に表れています。


 この改革案、新しい元号の時代の競馬に、どのように影響を及ぼすのか。大いに注目していく必要がありそうです。

改革案の骨子

 平成30年11月20日にJRAから発表された「平成31事業年度の事業計画書」によれば、基本方針として以下の5つが掲げられています。


〇お客様とともに

〇夢と感動とともに

〇信頼とともに

〇社会とともに

〇そして未来へ


 これらは「将来にわたる事業運営の安定化と経営基盤の強化を図る」とともに、「競馬の施行を通じた社会貢献を果たす」ことを目指すもの。


 そして具体的な重点事項として(1)競馬番組の充実と質の高い競走の提供、(2)キャッシュレス投票をはじめとした勝ち馬投票施策の充実、(3)競馬場やウインズにおけるホスピタリティ等の向上、(4)東京2020オリンピック・パラリンピックへの協力および社会的ニーズへの的確な対応、の4項目が挙げられています。


 この4つのうち、馬券を買って楽しむファンにとっては、(1)の競馬番組の充実、質の高い競走の提供こそ、最も気になる項目なのではないでしょうか。

すぐには出せない結論

 ひと口に「番組の充実」、「質の高いレース」と言っても漠然としていますし、更にそれを「魅力ある競走の提供」と言い直しても今ひとつピンときません。


 そんな中で、具体案として昨年3月の時点から提示されていたのが、リステッド競走の格付けです。


 非重賞競走、いわゆるオープン特別について、グレード格付け管理委員会が審査、承認したレースが、今年度からリステッド競走として格付けされました。おおよそですが、オープン特別の約半数近くのレースが“リステッド”扱いになるようです。その承認、認定の過程はさておくとして、明確にオープン特別とは賞金に差がつけられ、とにかくオープン特別は二通りに分けられることになりました。


 これ、すでに発表になっていた“降級制度の廃止”によるオープン馬の増加、それによって生じかねない魅力低下を避けるため、なのでしょうか。クラス自体を細分化することで、出走馬のレベルをある程度、均等に保つことを狙って。しかし、その効果は実際にやってみないとわかりません。


 セリ名簿の記載方法に新しいファクターが追加されるわけで、一部の皆さんには喜ばしい制度と言えますが、一般ファンの感覚として、おいてけぼり感がないでしょうか。


 おぼろげにわかるのは、降級制度がなくなることで、競走資源としての馬の“サイクル”が早くなるであろうこと。


 これだって、競馬人気、馬券の売上にどう影響するのか、実際に新ルールでの施行がスタートしてみなくてはわかりません。

競走サイクルの加速

 競走資源としての馬のサイクルと言えば、番組上の変更点で秋の3歳未勝利戦、いわゆる“スーパー未勝利”の廃止も同じ文脈になるでしょう。夏までに3歳未勝利戦を増やして勝ち上がり頭数自体には変化がないよう留意されるとのことですが、このことが高条件レースを増やし、より高い水準のレースを提供することに直結するのかどうか。


 また、秋の2歳未勝利戦が増加されたりすると、そのサイクルはもっと早い段階から加速することになります。あくまで噂話の段階に過ぎませんが、年明けの新馬戦も見直しの検討対象に入っているとか何とかで……。


 こういった馬=競馬の主役達、の活躍するサイクルが早くなることも、競馬人気にどう影響するのか。これからの検証を待つことになります。



 少し脇道にそれますが、定着するかどうかわからない、と言えば“競走条件の呼称変更”もそのひとつ。


 例の500万を「1勝クラス」、1000万を「2勝クラス」、1600万を「3勝クラス」に、という、さんざんネット上でも評判が芳しくない変更案です。


 仕事柄の笑い話になりますが、今年度からは新聞紙上に「未勝利、1勝クラス、2勝クラスと、目下3連勝中」なんてよくわからない文章が出てきかねません。これ、慣れるのにどれくらいかかりますか……。


 先のオープン細分化のケースでも、「重賞はもとよりリステッドでも荷が重いからオープン特別を使うことにした」なんて談話が出てくるのでは?


 ま、本音としてはそういうことになるんでしょうけど……。

和田章郎(競馬ブック編集部)

中央競馬専門紙・競馬ブック編集部で内勤業務につくかたわら遊軍的に取材現場にも足を運ぶ。週刊競馬ブックを中心に、競馬ブックweb『週刊トレセン通信』、オフィシャルブログ『いろんな話もしよう』にてコラムを執筆中。

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