キタサンとレイデオロが示した新機軸 17年上半期の結果は次代の潮流となるか

上半期の主役・キタサンブラックの足跡

2017年上半期の競馬、主役は間違いなくキタサンブラックだった 【スポーツナビ】

 6月いっぱいでJRAの上半期の日程が終了し、7月に入ってすっかり夏競馬ムードに入っています。ひと息ついて頭を冷やせる格好のタイミングでもありますし、少しばかり上半期の競馬を振り返っておきましょう。

 真っ先に取り上げなくてはならないのは、キタサンブラックの足跡。昨年の年度代表馬が今年も健在とあって、上半期も主役を務めて引き続き競馬界の話題をリードするはずでした。いや、話題をリード、ということであれば、ある意味達成されましたか。ただ、必ずしも明るい材料ばかりではなく、残念なイメージも引き摺りつつ、でしたが。

 新設GI大阪杯を好位から早目先頭の正攻法で押し切り、“初代”のチャンピオンに輝くと、続く天皇賞・春を連勝。それがディープインパクトが持つ従来のレコードを0秒9更新する圧勝とあって、続く宝塚記念では注目度がヒートアップ。ファン投票の獲得票数が09年ウオッカ以来の10万票超。昨年の有馬記念の覇者サトノダイヤモンドが回避したことで“春の古馬GI3勝”のボーナスをほぼ手中に収めたかのようなムードが漂い、単勝1,4倍の支持を受けます。

 ところが、前評判では死角らしい死角がない、と思われたレースで、ほとんど見せ場なく9着に敗れてしまいます。

 激走を続けた後のシーズン最後のレース、内回りで、しかも外枠だったため自分のリズムで走れなかったこと、あるいは稍重の馬場も影響したかもしれません。

 ともかくも、勝っても負けても話題の中心にいたキタサンブラック。彼の宝塚記念の走りは、「これも競馬」の象徴的な結果に終わり、上半期が幕を閉じました。

名伯楽のダービー初制覇

 今春の競馬界の話題として、もうひとつ大きな出来事として挙げられるのが、レイデオロの、そう美浦の藤沢和雄調教師がついに日本ダービーを制した、ということです。

 昭和63年に厩舎開業以来、12度のJRA年間最多勝利に輝き、国内、海外を含めた通算勝利数が17年7月9日時点で1361勝。調教師として、すでに押しも押されもせぬ成績を残しながらも、日本ダービーは02年のシンボリクリスエス、03年のゼンノロブロイの2着が最高。現在進行形のレジェンドとしては、手にしておきたいタイトルだったはず。それを延べ19頭目の挑戦で達成しました。

 そしてレイデオロの勝利は、別の意味でも大きなトピックとして記憶されることになりました。今年GIに昇格するホープフルSの意義を広く認めさせた、という点で。

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著者プロフィール

中央競馬専門紙・競馬ブック編集部で内勤業務につくかたわら遊軍的に取材現場にも足を運ぶ。週刊競馬ブックを中心に、競馬ブックweb『週刊トレセン通信』、オフィシャルブログ『いろんな話もしよう』にてコラムを執筆中。

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