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凱旋門賞は“悲願”である必要はあるのか
パラダイムシフトで見る日本競馬の可能性

まずは恒例の大一番から

日本期待のサトノダイヤモンド(右、緑帽)は15着に惨敗した今年の凱旋門賞……なぜ“悲願”でなくてはならないのか
日本期待のサトノダイヤモンド(右、緑帽)は15着に惨敗した今年の凱旋門賞……なぜ“悲願”でなくてはならないのか【写真は共同】

 海外競馬馬券発売1周年となった第96回凱旋門賞。昨年の菊花賞、有馬記念を制したサトノダイヤモンドと、僚馬サトノノブレスがチームを組んでの遠征とあって注目を集め、前年の売上41億8599万5100円には及びませんでしたが、それでも34億4333万6600円だというのですから、やはり“凱旋門賞”ブランドの破壊力は計り知れません。


 しかし、肝心の2頭がそれぞれ15、16着。この結果を寂しく伝えなくてはならないのは仕方がないのですが、敗因について予めわかっている「馬場」とか「枠」などに言及されると、ついつい暗い気分で、「またか」と思わされてしまいます。


 勝負は時の運ですから、勝つ時も負ける時もあるのも承知のうえ。挑戦し続けることの意義も認めます。が、経験をベースにした対策を常に考えるのと同時に、客観的な分析も行う必要があるはず。これは出走した陣営に限ったことではなく、日本の競馬界全体として、と思うのです。


 そもそも、なにゆえ凱旋門賞が日本競馬の“悲願”とされているのか、ということから見直すことも含めて。

秋のキーワードも“パラダイムシフト”?

ダービー馬レイデオロ(中、緑帽)は秋初戦の神戸新聞杯を快勝(写真は今年のダービー)
ダービー馬レイデオロ(中、緑帽)は秋初戦の神戸新聞杯を快勝(写真は今年のダービー)【写真:中原義史】

 それはひとまず置いておいて、日本の競馬に目を転じてみますと、今春の3歳クラシック戦線を引っ張った藤沢和雄厩舎が、どうやら秋競馬も話題の中心を担うようです。


 ダービー馬レイデオロが神戸新聞杯で既成勢力、新勢力の挑戦を一蹴すると、当初の予定通りに菊花賞には向かわず、ジャパンCに挑戦することを表明しました。オークス馬ソウルスターリングは今週末の、古馬一線級が揃うGII毎日王冠で秋緒戦を迎えます。ともに従来のローテーションを無視して、まさに「我が道を行く」のスタイルです。

オークス馬ソウルスターリングは古馬相手の毎日王冠で秋初戦、その走りに注目が集まる(写真は今年のオークス)
オークス馬ソウルスターリングは古馬相手の毎日王冠で秋初戦、その走りに注目が集まる(写真は今年のオークス)【写真:中原義史】

 斬新な発想、しっかりした観察力、明確な目標へ向けた調整方法等、さまざまな知見から導き出された選択肢として提示されるわけですが、そこに感じられるのは、春の段階でもキーワードとして触れた新機軸……すなわち“パラダイムシフト(常識や思想、価値観が劇的に変化すること)”の理念。


 それを可能にするのは馬主サイドの理解は勿論、育成スタッフや厩舎のスタッフの対応力。関係者全体に秘められている力量あってこそ、の芸当なのだと思われます。


 ただ、主役を務めるべき馬が“王道”のローテーションから外れるわけで、メンバー構成が手薄な印象になるのは否めません。しかしそれは、より多くの馬にチャンスが巡ってくる、ということにもなって、馬券的な興味という点で楽しみが増えることは間違いありません。劇的であるなしに関わらず、パラダイムシフトはいろいろな面に影響を与える、という好例かもしれません。

和田章郎(競馬ブック編集部)
中央競馬専門紙・競馬ブック編集部で内勤業務につくかたわら遊軍的に取材現場にも足を運ぶ。週刊競馬ブックを中心に、競馬ブックオンライン『週刊トレセン通信』、オフィシャルブログ『いろんな話もしよう』にてコラムを執筆中。

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