知られざる富山とバスケの関係 行政編 富山市がビッグゲームをサポートする理由
「見るスポーツ」の振興に力を入れる富山
富山市スポーツ健康課の林崎係長が、オールスターの会場となる総合体育館のカフェスペースにてビッグゲーム開催の背景を語ってくれた 【永塚和志】
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林崎係長は「市総体」の運用についてこう述べる。
「昨年に4面スクリーンを設置し、競技大会ばかりでなくイベントや興行にも対応する施設の取り組みを行っています」
富山市は競技スポーツ、健康寿命を伸ばすための生涯スポーツに加えて「見るスポーツ」の振興に力を入れている。
「地方都市ですし、ビッグゲームってほとんど見る機会がないんです。見て楽しめる施設が整ってきたということで、市民がトップレベルのスポーツを身近に見ることができるようになりました。スポーツツーリズムでインバウンドの皆さんに周辺の観光、さらに商工業にも目を向けていただくという目的もあります」
真冬の富山で開催するからこその意義も
富山グラウジーズのホームコートでもある市総合体育館は、多目的アリーナとしてさまざまな用途にも対応している 【(C)B.LEAGUE】
スポーツ観戦は住民の生活に潤いを与え、街を一つにする、盛り上げるいい誘因だ。また「外」から人を呼び込むきっかけにもなる。
「内」と「外」の両方に向けて、オールスターゲームに向けたプロモーションも進んでいる。昨年12月から富山ライトレール、路面電車といった公共交通機関の一部車両に「ラッピング」が施され、市内を走っている。県外からの来場者に向けては、富山の玄関となるJR富山駅と富山空港にはPRのための掲出物が予定されている。
オールスターゲームのチケットは早々に売り切れていて、観戦のチャンスをつかめなかった市民もいるだろう。ただ今回は市内でパブリックビューイングが開催される。1月の富山は降雪の可能性もあるが、そういう状況に対応できる施設がある。林崎係長はこう説明する。
「市中心部の総曲輪地区にあるグランドプラザという多目的イベントスペースには、屋根付きのフロアがあります。チケットが手に入らなかった市民の方にも盛り上がっていただきたいという気持ちがあったので、Bリーグの方にパブリックビューイング開催の話は積極的にさせていただきました」
冬場のオールスターゲーム開催については、このような意味を見いだしている。
「冬の富山でやるということも意義があると思います。雪が降って寒いとなかなか外に出られませんが、『冬でも見に行こう』という気持ちになってもらいたい。バスケが一つのきっかけになるのかなと思います」
富山市は「コンパクトシティ」を提唱し、公共交通を中心とした街づくりをしている。市総合体育館はバリアフリー化のされた施設だが、そもそも街自体で老若男女が冬場にも路面電車やライトレールで動けるように整備されている。県外からの訪問者もレンタカーやタクシーに頼らず試合観戦、観光、食べ歩きをスムーズに行える環境だ。林崎係長は「観戦で終わるのでなく、その先の富山も楽しんでもらいたい」と強調する。