知られざる富山とバスケの関係 行政編
富山市がビッグゲームをサポートする理由

「見るスポーツ」の振興に力を入れる富山

富山市スポーツ健康課の林崎係長が、オールスターの会場となる総合体育館のカフェスペースにてビッグゲーム開催の背景を語ってくれた
富山市スポーツ健康課の林崎係長が、オールスターの会場となる総合体育館のカフェスペースにてビッグゲーム開催の背景を語ってくれた【永塚和志】

 ビッグゲームの開催にはさまざまな組織、人材の協力が欠かせない。1月19日に開催されるBリーグオールスターゲーム2019を主催するのはBリーグで、招致したのは富山グラウジーズだ。加えて富山市のサポートも大一番の成功には欠かせない。連載第4回目は富山市スポーツ健康課の林崎幸久係長にスポーツ振興、街づくりといった「大きな視点」も踏まえて、オールスター開催の意義を語っていただいた。

 開催地の富山市総合体育館は富山市が整備を行った施設。富山駅北口から徒歩5分の好立地で、2000年の富山国体に向けて建設されたためまだ新しい。いわゆる「ハコモノ」とは一線を画した居心地のいい施設で、カフェスペースも設置され、競技者や観戦者以外の利用も想定されている。


 林崎係長は「市総体」の運用についてこう述べる。


「昨年に4面スクリーンを設置し、競技大会ばかりでなくイベントや興行にも対応する施設の取り組みを行っています」


 富山市は競技スポーツ、健康寿命を伸ばすための生涯スポーツに加えて「見るスポーツ」の振興に力を入れている。


「地方都市ですし、ビッグゲームってほとんど見る機会がないんです。見て楽しめる施設が整ってきたということで、市民がトップレベルのスポーツを身近に見ることができるようになりました。スポーツツーリズムでインバウンドの皆さんに周辺の観光、さらに商工業にも目を向けていただくという目的もあります」

真冬の富山で開催するからこその意義も

富山グラウジーズのホームコートでもある市総合体育館は、多目的アリーナとしてさまざまな用途にも対応している
富山グラウジーズのホームコートでもある市総合体育館は、多目的アリーナとしてさまざまな用途にも対応している【(C)B.LEAGUE】

 市総合体育館は富山グラウジーズのホームアリーナだが、多目的アリーナとしてさまざまな用途に対応している。Bリーグのホームアリーナの中でも、映像や音響、ホワイエと呼ばれるコート外のスペースなどの付随部分が特にしっかりしている施設の一つだろう。


 スポーツ観戦は住民の生活に潤いを与え、街を一つにする、盛り上げるいい誘因だ。また「外」から人を呼び込むきっかけにもなる。


「内」と「外」の両方に向けて、オールスターゲームに向けたプロモーションも進んでいる。昨年12月から富山ライトレール、路面電車といった公共交通機関の一部車両に「ラッピング」が施され、市内を走っている。県外からの来場者に向けては、富山の玄関となるJR富山駅と富山空港にはPRのための掲出物が予定されている。


 オールスターゲームのチケットは早々に売り切れていて、観戦のチャンスをつかめなかった市民もいるだろう。ただ今回は市内でパブリックビューイングが開催される。1月の富山は降雪の可能性もあるが、そういう状況に対応できる施設がある。林崎係長はこう説明する。


「市中心部の総曲輪地区にあるグランドプラザという多目的イベントスペースには、屋根付きのフロアがあります。チケットが手に入らなかった市民の方にも盛り上がっていただきたいという気持ちがあったので、Bリーグの方にパブリックビューイング開催の話は積極的にさせていただきました」


 冬場のオールスターゲーム開催については、このような意味を見いだしている。


「冬の富山でやるということも意義があると思います。雪が降って寒いとなかなか外に出られませんが、『冬でも見に行こう』という気持ちになってもらいたい。バスケが一つのきっかけになるのかなと思います」


 富山市は「コンパクトシティ」を提唱し、公共交通を中心とした街づくりをしている。市総合体育館はバリアフリー化のされた施設だが、そもそも街自体で老若男女が冬場にも路面電車やライトレールで動けるように整備されている。県外からの訪問者もレンタカーやタクシーに頼らず試合観戦、観光、食べ歩きをスムーズに行える環境だ。林崎係長は「観戦で終わるのでなく、その先の富山も楽しんでもらいたい」と強調する。

大島和人
大島和人

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都町田市に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。バスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、バレーなどの現場にも小まめに足を運び、試合観戦数は毎年300試合を超える。日本を実はサッカーだけでなくバスケ強国であるスペイン、バレー王国・ブラジルのような球技大国にすることが一生の夢で、“球技ライター”を自称している。

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