菊Vフィエールマンは競馬界のエムバペ ルメール「才能があれば経験はいらない」
関東馬、17年ぶりの菊花賞勝利
ルメール騎乗のフィエールマン(奥)がエタリオウ(手前)との叩き合いを制し、キャリア4戦目で菊花賞制覇 【スポーツナビ】
フィエールマンは今回の勝利でJRA通算4戦3勝、重賞は初勝利。騎乗したルメールは2016年サトノダイヤモンド以来の菊花賞2勝目、同馬を管理する手塚貴久調教師は牡馬クラシック初勝利となった。
2001年マンハッタンカフェ以来となる17年ぶりの関東馬による菊花賞勝利となった 【スポーツナビ】
ゴールの瞬間は「負けたと思いました」
ゴール後は「負けた」と思っていたという 【スポーツナビ】
「この秋はずっといい馬に乗ることができています。僕自身の調子もいいと思いますし、レース前には馬をよく観察します。だから、毎回いっぱい自信がありますし、いい競馬ができるんだと思います」
リズムが良いときは何もかもが良い方向に回っていくもの。実際、この菊花賞も事前に立てていたプランとは全く違う展開になってしまったが、かえってそれがドンピシャにハマったのだと、ルメールは苦笑い混じりに振り返る。
「フィエールマンはスタートがちょっと遅いけど、最後にいい脚を使います。それにペースはもっと速くなると思っていたので、後ろのポジションからのレースだと思っていました。だから、思っていたプランとは全然違っていました(笑)」
プランとは全く違った位置取り、それでも「完ぺき」
火の出るような叩き合い――「最後は脚が違っていた」と2着デムーロはフィエールマンの切れ味を称賛した 【スポーツナビ】
「いいポジションを取ることができてビックリしました。プラン変更です(笑)。でも、このペースで丁度良かったですし、馬も引っ掛かりませんでした。すぐにリラックスして息が入りましたし、完ぺきでした」
最後の直線こそ先行馬が壁となり「少し我慢しないといけなかったし、抜けるまでに時間がかかった」とルメール。その間、外からいち早く抜け出したミルコ&エタリオウが3〜4馬身ほど前に出たが、これもフィエールマンにとって格好の目標となった。
「抜けたときは反応、切れ味がすごかったですね。ラスト50メートルでミルコの馬と併せ馬になって、ミルコの馬がすごく頑張りましたが、僕の馬も頑張ってくれました」
前述の通り、馬体を併せたままゴールに入った瞬間、「負けた」とルメールは思ったというが、実際には勝っていたわけだから、フィエールマンは名手の感覚の上を行くラストのひと伸びを見せたのだろう。惜敗したミルコも「最後は勝った馬の脚が違っていた」と、フィエールマンの切れ味を称賛するしかなかった。