菊Vフィエールマンは競馬界のエムバペ ルメール「才能があれば経験はいらない」

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関東馬、17年ぶりの菊花賞勝利

ルメール騎乗のフィエールマン(奥)がエタリオウ(手前)との叩き合いを制し、キャリア4戦目で菊花賞制覇 【スポーツナビ】

 3歳牡馬クラシックの最終戦、第79回GI菊花賞が21日、京都競馬場3000メートル芝を舞台に争われ、クリストフ・ルメール騎乗の7番人気フィエールマン(牡3=美浦・手塚厩舎、父ディープインパクト)が優勝。中団前めの好位から直線ど真ん中を鋭く伸び、ミルコ・デムーロ騎乗の2番人気エタリオウ(牡3=栗東・友道厩舎)との叩き合いをハナ差制した。良馬場の勝ちタイムは3分6秒1。

 フィエールマンは今回の勝利でJRA通算4戦3勝、重賞は初勝利。騎乗したルメールは2016年サトノダイヤモンド以来の菊花賞2勝目、同馬を管理する手塚貴久調教師は牡馬クラシック初勝利となった。

2001年マンハッタンカフェ以来となる17年ぶりの関東馬による菊花賞勝利となった 【スポーツナビ】

 なお、2着エタリオウから1馬身半差の3着には武豊騎乗の10番人気ユーキャンスマイル(牡3=栗東・友道厩舎)。1番人気に支持された池添謙一騎乗のブラストワンピース(牡3=美浦・大竹厩舎)は3着から3/4馬身差の4着、戸崎圭太騎乗の皐月賞馬エポカドーロ(牡3=栗東・藤原英厩舎)は8着に敗れた。

ゴールの瞬間は「負けたと思いました」

ゴール後は「負けた」と思っていたという 【スポーツナビ】

 ルメールとデムーロ、最後のゴール前は名手2人による火の出るような一騎打ち。鼻面を並べたゴールの瞬間、ルメールは「負けた」と思ったという。しかし、勝利の女神はフィエールマンとルメールに微笑んでいた。これで先週の秋華賞アーモンドアイに続く2週連続のGI勝利で、重賞は4連続V。今のルメールには逆らってはいけない――そう思わずにはいられない勝負強さを、またまた見せ付けられたわけだ。絶好調の鞍上が言う。

「この秋はずっといい馬に乗ることができています。僕自身の調子もいいと思いますし、レース前には馬をよく観察します。だから、毎回いっぱい自信がありますし、いい競馬ができるんだと思います」

 リズムが良いときは何もかもが良い方向に回っていくもの。実際、この菊花賞も事前に立てていたプランとは全く違う展開になってしまったが、かえってそれがドンピシャにハマったのだと、ルメールは苦笑い混じりに振り返る。

「フィエールマンはスタートがちょっと遅いけど、最後にいい脚を使います。それにペースはもっと速くなると思っていたので、後ろのポジションからのレースだと思っていました。だから、思っていたプランとは全然違っていました(笑)」

プランとは全く違った位置取り、それでも「完ぺき」

火の出るような叩き合い――「最後は脚が違っていた」と2着デムーロはフィエールマンの切れ味を称賛した 【スポーツナビ】

 手塚調教師が「今までで一番出ましたね」という“好スタート”から、道中は5、6番手グループ。後方で脚をタメていこうと考えていたルメールにとっては、まさに真逆のポジションとなってしまった。ところが、ハナを切ったジェネラーレウーノが思ったほど行かず、前半1000メートルの通過は62秒7。いくら3000メートルの長丁場とはいえ、これは明らかにスローペースだろう。事実、終わってみれば後方にいた馬たちは全滅。それだけに、想定外に前になったこの位置が、絶好のポジションに生まれ変わったのだった。

「いいポジションを取ることができてビックリしました。プラン変更です(笑)。でも、このペースで丁度良かったですし、馬も引っ掛かりませんでした。すぐにリラックスして息が入りましたし、完ぺきでした」

 最後の直線こそ先行馬が壁となり「少し我慢しないといけなかったし、抜けるまでに時間がかかった」とルメール。その間、外からいち早く抜け出したミルコ&エタリオウが3〜4馬身ほど前に出たが、これもフィエールマンにとって格好の目標となった。

「抜けたときは反応、切れ味がすごかったですね。ラスト50メートルでミルコの馬と併せ馬になって、ミルコの馬がすごく頑張りましたが、僕の馬も頑張ってくれました」

 前述の通り、馬体を併せたままゴールに入った瞬間、「負けた」とルメールは思ったというが、実際には勝っていたわけだから、フィエールマンは名手の感覚の上を行くラストのひと伸びを見せたのだろう。惜敗したミルコも「最後は勝った馬の脚が違っていた」と、フィエールマンの切れ味を称賛するしかなかった。

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