伏兵エポカドーロ「狙って取った」皐月賞 覚醒したオルフェの血はダービーでも

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戸崎、藤原英調教師ともに皐月賞初勝利

戸崎圭太騎乗の7番人気エポカドーロが皐月賞制覇! 【写真:中原義史】

 3歳牡馬クラシックの第一冠、第78回GI皐月賞が15日、中山競馬場2000メートル芝で行われ、戸崎圭太騎乗の7番人気エポカドーロ(牡3=栗東・藤原英厩舎、父オルフェーヴル)が優勝。離れた4番手から鮮やかに抜け出し、三冠レースの第1戦目を制した。稍重馬場の勝ちタイムは2分0秒8。

 エポカドーロは今回の勝利でJRA通算5戦3勝、重賞は初勝利。騎乗した戸崎、同馬を管理する藤原英昭調教師ともに皐月賞初勝利となった。

戸崎、藤原英調教師ともに皐月賞初勝利となった 【写真:中原義史】

 なお、2馬身差の2着には藤岡佑介騎乗の9番人気サンリヴァル(牡3=栗東・藤岡健厩舎)、さらに1馬身3/4差の3着には田辺裕信騎乗の8番人気ジェネラーレウーノ(牡3=美浦・矢野厩舎)が入線。1番人気に支持された福永祐一騎乗のワグネリアン(牡3=栗東・友道厩舎)は7着、クリストフ・ルメール騎乗の2番人気ステルヴィオ(牡3=美浦・木村厩舎)は4着に敗れた。

離れた4番手……「最高の展開」

「最高の展開」から直線を鮮やかに抜け出した 【写真:中原義史】

 確たる軸不在、横一線の混戦という下馬評通り、終わってみれば人気馬が総崩れ。その中を1頭、突き抜けたのは新種牡馬オルフェーヴルの初年度産駒、エポカドーロだった。

「戦前からプロセスを踏んで、ここを狙ってきましたからね。展開が向いたのもありましたけど、鮮やかに勝ってくれて爽快な勝利だと思います」

 そう頬を緩めて語ったのは、藤原英調教師だ。昨年は55勝を挙げて調教師リーディング全国2位。今年はすでに26勝をマークし、全国トップを独走中だ(2位は19勝の角居厩舎)。そんな名トレーナーがまさに“狙って取った”皐月賞。その目に映ったエポカドーロのレースは文字通り「ベストの展開だった」という。

 レースはアイトーン、ジェネラーレウーノ、ジュンヴァルロの3頭が互いに先手を譲らないまま引っ張る形。向こう正面へ行くころにはすでに前3頭と後続の間が10馬身近くも開いてしまい、この思わぬ流れに中山競馬場のスタンドはザワついた。しかし、そうしたどよめきをよそに、この展開を誰よりも喜んだのが戸崎だ。

「事前の作戦で藤原先生からの指示と僕の意見とを合わせて、前に行く馬を見ながら競馬ができればいいなと思っていました。思った通りのいい展開になりましたね」

「ここまで余裕の勝ち方をするとは」

2馬身差の快勝にはトレーナーも「想像していなかった」 【写真:中原義史】

 前半1000メートルの通過は59秒2。前日からの雨で重たくなった馬場を考えれば、明らかに速い。しかし、このラップは飛ばした前3頭のものであり、離れた4番手追走の戸崎エポカドーロはむしろスローの単騎逃げに近い形だ。誰にも邪魔されることなく、また人気馬が中団から後方に固まったために互いにけん制し合っていたのか、後ろから突っついてくる馬もいない。

「前は多少速いなと感じていました。これが1頭だけ逃げていたのなら楽だったと思うんですが、3頭だったのでキツいだろうなと思っていたんです。一方、自分の馬はいいリズムで走っていましたし、最高だなという気持ちで乗っていました」

 あまりにも事が上手く運びすぎてしまうと、かえって焦りが出て、あるいは慎重になりすぎて仕掛けどころを誤ってしまう場合もある。しかし、そこは名手・戸崎だ。「後ろにもまだ有力馬がいるから」と、この“最高の展開”にも慌てることなくエポカドーロのリズムとペースを最優先。仕掛けどころもドンピシャに決まり、最後の直線急坂を一気に駆け抜けていった。すぐ後ろから追いすがった2着サンリヴァルの藤岡佑が「勝ち馬は最後流していましたからね。強かった」と完敗を認めた通り、7番人気の伏兵評価がウソのような圧勝劇。さすがの藤原英調教師も「ここまで余裕の勝ち方をするとは想像していなかった」と驚きを隠さなかった。

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