世界の名将に評価された23歳 水球・足立「自分はまだまだ」からの未来

田坂友暁
 2020年東京大会そして世界に向けて、それぞれの地元から羽ばたくアスリートを紹介する連載企画「未来に輝け! ニッポンのアスリートたち」。第20回は岐阜県出身、水球の足立聖弥(Kingfisher74)を紹介する。

日本代表のポイントゲッター、足立聖弥

水球の足立聖弥。世界大会でも物おじしない活躍を見せるなど、2020年東京大会の中心となるであろうプレーヤーだ 【写真:エンリコ/アフロスポーツ】

 “水中のハンドボール”と称されることもある水球競技。男子の場合は競技エリアが縦33.3m、横20mあるプールの中で、屈強な選手たちがキーパーを含めて1チーム7人でひとつのボールを奪い合い、ゴールを目指す。第1ピリオドから第4ピリオドまで区分けされ、1ピリオド8分間で争われる。水しぶきも“目くらまし”として使うこともあり、戦略は無限大。一度見ると、そのスピード感とダイナミックさに圧倒されることだろう。

 当然、水球の花形はシュートだ。体の自由が利かない水中でディフェンスを交わし、たくみにボールと自分の体を操り、相手チームの一瞬の隙を突く。その技は、華麗だ。
 16年リオデジャネイロ五輪(以下、リオ五輪)に32年ぶりとなる出場を果たした、水球男子の日本代表チーム。その中で172センチと、水球選手としては不利な体格にもかかわらず、そのたぐいまれなるシュートセンスが認められ、当時は大学生ながら日本代表チームに名を連ねたプレーヤーがいる。今では日本代表のポイントゲッターであり、エースとしてチームを牽引(けんいん)する足立聖弥だ。

金メダル監督からも評価「2017年のサプライズ選手」に選出

17年には、前年のリオ五輪で金メダルを獲得したセルビアの監督、デヤン・サビッチ氏に「最もサプライズを与えた“トップ5”選手のひとり」として評価された 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 17年の世界選手権(ハンガリー・ブダペスト)。日本代表3年目を迎えた足立は、世界にその名を轟かせることになった。

 予選リーグで、日本は過去一度も勝利したことがなかった米国に、15対7の大差で“ジャイアントキリング”な勝利を挙げた。そして日本が獲得した15点のうちほぼ半分の7得点を、足立ひとりでたたき出したことに世界は大きな衝撃を受けたのだ。
 その試合直後から、足立はハンガリーの複数のプロチームから勧誘を受けるほど。それだけ、足立のプレーは際立っていた。
 年末には、リオ五輪で金メダルを獲得したセルビアの監督、デヤン・サビッチ氏に「2017年、最もサプライズを与えた“トップ5”選手のひとり」として評価された。これは世界中のプレーヤーがうらやむ称号でもあった。
 それを、数年前までは世界大会に出場できるかどうかという状況にあった弱小国、日本の、しかも代表に入ってまだ3年目の若手プレーヤーが獲得したのである。これほど、世界が驚いたニュースも珍しい。

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著者プロフィール

1980年、兵庫県生まれ。バタフライの選手として全国大会で数々の入賞、優勝を経験し、現役最高成績は日本ランキング4位、世界ランキング47位。この経験を生かして『月刊SWIM』編集部に所属し、多くの特集や連載記事、大会リポート、インタビュー記事、ハウツーDVDの作成などを手がける。2013年からフリーランスのエディター・ライターとして活動を開始。水泳の知識とアスリート経験を生かした幅広いテーマで水泳を中心に取材・執筆を行っている。

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