17歳の武器は“ノースプラッシュ” 兵庫県出身の飛び込み選手・荒井祭里

田坂友暁
 2020年東京五輪そして世界に向けて、それぞれの地元から羽ばたくアスリートを紹介する連載企画「未来に輝け! ニッポンのアスリートたち」。第18回は兵庫県出身、水泳・飛び込みの荒井祭里(JSS宝塚)を紹介する。

“一瞬の美”を競う飛び込み競技

水泳・飛び込み競技の荒井祭里。昨年は世界選手権に出場するなど、伸び盛りの17歳だ 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 水泳競技というカテゴリに含まれる飛び込みだが、そのトレーニング方法や競技特性はほかの水泳競技とは一線を画する。

 飛び込み台から入水までたった2秒にも満たない間に、回転したりひねったりしながら技の美しさを表現し、水しぶきを上げずにプールに入水していく。まさに“一瞬の美”を競うのが、飛び込みという競技だ。
 特に、どんな演技をしたとしても水しぶきの上がらない入水、いわゆる“ノースプラッシュ”はいちばんの魅力であり、選手たちの見せどころでもある。

 その入水を得意とする若手選手がいる。10メートルの高さから飛び込む種目「高飛び込み」で注目される17歳の高校生、荒井祭里だ。荒井は、2001年の世界選手権で銅メダルを獲得し、今も現役選手として活躍し続けている寺内健(ミキハウス)や、16年リオデジャネイロ五輪の高飛び込みで80年ぶりとなる8位入賞を果たした1歳年上の板橋美波(JSS宝塚)らとともにトレーニングをしている。

ノースプラッシュの技術を持つ荒井

 身長150センチ、体重は38.5キロ。荒井は、小柄な選手が多い飛び込み競技のなかでも、ひときわ目を引くほど小さな体格の持ち主だ。
 しかし一度飛び込み台に立つと、その小柄な体からは想像ができないほどの美しく、ダイナミックな演技を見せる。高い回転力はもちろん、何よりも水しぶきを上げない高い入水技術を持っているのが彼女の特徴でもある。

 演技の最後を締めくくる入水は、採点競技である飛び込みにおいて、得点を左右する大事な技術だ。世界のトップダイバーたちを見てみると、高い難易率の回転数やひねる回数が多い難しい演技を行ったとしても、水しぶきを上げてしまうような入水の失敗は、ほとんどない。
 つまり、ノースプラッシュを実現させる入水技術は、飛び込みの基礎でありながら、世界で結果を残すためには必要不可欠なテクニックなのである。

 その入水を武器に、荒井は伊丹市立荒牧中3年生のとき、全国中学の高飛び込みで優勝。それ以来、飛び込みのトップクラスで活躍し続けている。

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著者プロフィール

1980年、兵庫県生まれ。バタフライの選手として全国大会で数々の入賞、優勝を経験し、現役最高成績は日本ランキング4位、世界ランキング47位。この経験を生かして『月刊SWIM』編集部に所属し、多くの特集や連載記事、大会リポート、インタビュー記事、ハウツーDVDの作成などを手がける。2013年からフリーランスのエディター・ライターとして活動を開始。水泳の知識とアスリート経験を生かした幅広いテーマで水泳を中心に取材・執筆を行っている。

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