競泳とOWSに挑む森山幸美 愛知で力を蓄えた“デュアルスイマー”

田坂友暁
 2020年東京五輪そして世界に向けて、それぞれの地元から羽ばたくアスリートを紹介する連載企画「未来に輝け!ニッポンのアスリートたち」。第17回は愛知県出身、競泳・オープンウォータースイミングの森山幸美(日本体育大)を紹介する。

海外ではメジャーな存在“デュアルスイマー”

競泳とOWSの両競技で五輪を目指す、愛知出身の森山幸美 【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

 競泳競技のなかで、多数種目(たとえば自由形と個人メドレーなど)で活躍する選手のことを“マルチスイマー”と呼ぶ。そして、競泳競技と、自然環境で長距離を泳ぐオープンウォータースイミング(以下OWS)競技という異なるふたつの競技を股にかけて活動、活躍する選手のことは“デュアルスイマー”と称する。

 世界を見れば、ごまんといるデュアルスイマー。有名なのは、2012年ロンドン五輪のマラソンスイミング(OWS)で金メダルを獲得した、ウサマ・メルーリ(チュニジア)だろう。08年北京五輪の1500メートル自由形で、当時男子自由形長距離で無類の強さを誇っていたグラント・ハケット(オーストラリア)を破って金メダルを獲得。続くロンドン五輪の1500メートル自由形では銅メダルだったものの、OWSで金メダルを獲得したのである。

 そして今年5月、日本にもデュアルスイマーの日本代表選手が誕生した。彼女の名前は森山幸美。現在21歳、日本体育大学の4年生だ。

じっくりと力を蓄えた中高時代

 森山のデュアルスイマーとしての素質は、すでに長距離種目を主戦場としていた中学時代から芽吹いていたのかもしれない。
 地元愛知県の刈谷朝日中に進学した森山は、1年生時の全国中学には個人メドレーで出場。だが、2年生では自由形長距離で全国中学に出場し、なんと800メートルで優勝を果たす。3年生のときは再度個人メドレーで出場し、400メートルで2位に入る活躍を見せたのだ。

 その才能を見込まれ、後に平泳ぎの今井月も所属する愛知県の強豪校、豊川高に進学。同校で指導していた小池隆治先生の“大学生で大成できる基盤づくり”という、すべてのベースとなる体力強化を大切にして、じっくりと選手を育てる方針が肌に合ったのか、森山は自由形長距離選手としての力を蓄えていく。
 2年生のときに、800メートル自由形でインターハイ初優勝を飾り、豊川高も女子総合初優勝を果たす。3年生でも同種目を制覇して2連覇を達成。総合でも豊川が2連覇を成し遂げた。

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著者プロフィール

1980年、兵庫県生まれ。バタフライの選手として全国大会で数々の入賞、優勝を経験し、現役最高成績は日本ランキング4位、世界ランキング47位。この経験を生かして『月刊SWIM』編集部に所属し、多くの特集や連載記事、大会リポート、インタビュー記事、ハウツーDVDの作成などを手がける。2013年からフリーランスのエディター・ライターとして活動を開始。水泳の知識とアスリート経験を生かした幅広いテーマで水泳を中心に取材・執筆を行っている。

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