連載:未来に輝け! ニッポンのアスリートたち
競泳とOWSに挑む森山幸美 愛知で力を蓄えた“デュアルスイマー”
海外ではメジャーな存在“デュアルスイマー”
競泳とOWSの両競技で五輪を目指す、愛知出身の森山幸美 【写真:中西祐介/アフロスポーツ】
世界を見れば、ごまんといるデュアルスイマー。有名なのは、2012年ロンドン五輪のマラソンスイミング(OWS)で金メダルを獲得した、ウサマ・メルーリ(チュニジア)だろう。08年北京五輪の1500メートル自由形で、当時男子自由形長距離で無類の強さを誇っていたグラント・ハケット(オーストラリア)を破って金メダルを獲得。続くロンドン五輪の1500メートル自由形では銅メダルだったものの、OWSで金メダルを獲得したのである。
そして今年5月、日本にもデュアルスイマーの日本代表選手が誕生した。彼女の名前は森山幸美。現在21歳、日本体育大学の4年生だ。
じっくりと力を蓄えた中高時代
地元愛知県の刈谷朝日中に進学した森山は、1年生時の全国中学には個人メドレーで出場。だが、2年生では自由形長距離で全国中学に出場し、なんと800メートルで優勝を果たす。3年生のときは再度個人メドレーで出場し、400メートルで2位に入る活躍を見せたのだ。
その才能を見込まれ、後に平泳ぎの今井月も所属する愛知県の強豪校、豊川高に進学。同校で指導していた小池隆治先生の“大学生で大成できる基盤づくり”という、すべてのベースとなる体力強化を大切にして、じっくりと選手を育てる方針が肌に合ったのか、森山は自由形長距離選手としての力を蓄えていく。
2年生のときに、800メートル自由形でインターハイ初優勝を飾り、豊川高も女子総合初優勝を果たす。3年生でも同種目を制覇して2連覇を達成。総合でも豊川が2連覇を成し遂げた。