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東京2020 THE WAY to 2020

パラと健常、垣根を超えたバド今井大湧
背中を押した愛工大名電高恩師の言葉

 2020年東京大会そして世界に向けて、それぞれの地元から羽ばたくアスリートを紹介する連載企画「未来に輝け! ニッポンのアスリートたち」。第19回は愛知県出身、パラ・バドミントンの今井大湧(日本体育大)を紹介する。

2020大会から採用されるパラバドミントン

パラバドミントン17年世界選手権銅メダル、世界ランキング2位など、世界の舞台で活躍する19歳の今井大湧
パラバドミントン17年世界選手権銅メダル、世界ランキング2位など、世界の舞台で活躍する19歳の今井大湧【写真:アフロスポーツ】

 2020年東京パラリンピックから新たに正式競技に採用されるバドミントン。車いすや低身長など14種目が実施されるが、そのなかでも最も競技レベルの高い激戦必至のクラスが男子SU5(上肢障がいなど)だ。


 このクラスにおける昨年の日本選手権チャンピオン(シングルス)であり、世界ランキング2位(18年5月30日時点)。いま最も勢いがある若手が、19歳の大学生・今井大湧(たいよう)である。


 先天性の右腕上肢欠損がある今井は、愛知県・愛工大名電高2年のとき、初めてパラバドミントンの日本選手権に出場。いきなり優勝の活躍で注目を集め、日本代表に名乗りを上げた。その後、177センチの長身から繰り出される角度のあるスマッシュを武器に、国際大会でも表彰台の常連に。現在は強豪ひしめく日体大のバドミントン部に籍を置き、東京パラリンピック金メダルをにらんでトレーニングに励んでいる。

健常バドでも実績 愛工大名電に部活動推薦で進学

中学、高校と健常者の大会に出場していた今井。パラへの挑戦は、高校恩師の言葉がきっかけだった
中学、高校と健常者の大会に出場していた今井。パラへの挑戦は、高校恩師の言葉がきっかけだった【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 1998年の8月、愛知県津島市で生まれた。小学4年のとき、仲の良い友人に誘われてバドミントンを始めるとすぐ夢中になった。中学時代は県大会でベスト8。その活躍が強豪・愛工大名電高の目に留まり、同校に部活動推薦で進学した。


 健常者の部員と、練習メニューの違いはない。誰も今井を特別扱いしなかった。そして、多くの部員がそうだったように、彼もまたインターハイ出場を目指していた。


 そんななか、あるニュースが舞い込んできた。東京パラリンピックでバドミントンが正式競技に決まったのだ。「障がい者バドミントンの大会に出場してみたらどうだろう」。父親から勧められるも、当の本人はあまり乗り気ではなかった。


「お前にしかやれないぞ」


 顧問の日詰彰則先生からそう言われようやく足が向いた。


「小さい頃から、新しいことを始めるのがあまり好きじゃなくて。お母さんから『どんどん外に出ていかないと』とよく言われていました。パラバドミントンも、大会に一回だけ出てやめようと思っていたくらいです」


 かくして、初めての日本選手権で見事チャンピオンになって地元に帰ってきた今井は、その結果により、パラバドミントンの強化指定選手として愛知から世界に羽ばたくことになる。


「子どものころ、バドミントンを始めたときもそうでした。自分から外に出ていくのは苦手なんですが、やってみると楽しくなる。振り返ると、環境に恵まれているということですね」


 高3のとき、初めて国際大会に参加。そのアイリッシュ・インターナショナルで準優勝の成績を残した。当時は日本代表としての活動はほぼ自己負担だったが、野球の名門としても知られる同高でも、パラリンピックを目指す今井を応援しようという機運が高まり、パラアスリートとしては初めて遠征費の支援が行われたという。


 当時を振り返って顧問の日詰先生は言う。

「右も左も分からずパラバドミントンの大会に出ていった彼を、社会人の先輩たちが温かく迎えてくれた。普段は健常者のなかでプレーしているので、パラバドミントンの大会に出るようになって初めて自分と同じ障がいの人たちに出会ったのだと思うんです。いい意味のカルチャーショックを受けて帰ってきて、価値観が変わっていっている様子でした」

瀬長あすか
1980年生まれ。制作会社で雑誌・広報紙などを手がけた後、フリーランスの編集者兼ライターに。2003年に見たブラインドサッカーに魅了され、04年アテネパラリンピックから本格的に障害者スポーツの取材を開始。10年のウィルチェアーラグビー世界選手権(カナダ)などを取材
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