宝塚はポリシー不変更サイモン逃げ 「競馬巴投げ!第171回」1万円馬券勝負

乗峯栄一

今週は栗東で「ずぶ濡れおじさん」そのものに

 まず写真の説明から。といっても、またまた言い訳から入る。今週水曜は猛烈な雨で、しかもトレセン到着が午前5時40分で、5時30分までの車入場許可の時刻を過ぎてしまう。いわゆる遅刻(トレセンで言うところの“出遅れ”)である。仕方なく場外に車を置いて、テクテク坂路上を目指す。傘は明確に禁止されてはいないのだが、開き方、開く場所などによってビクつく馬がたまにいて、そのときはもの凄く怒られて(オドオドしている素人を怒ることを趣味にしているような人がたまにいる)、ほとんどの取材者はカッパを着る。しかしトラック外周歩道を歩くだけでも、靴もズボンもずぶ濡れになる。

 ふと横を見ると、コースで「6」番宝塚ゼッケンを着けた馬がキャンターをやっている。

「サトノダイヤモンドとちがうんか!」

 思わず声が出て、ここでしばし考える。このまま苦労して坂路上まで徒歩で行くより、コース追いの馬をスタンド前で待っていた方が効率がいいんじゃないか。

 しかし、好結果ではなかった。コースに入る前の広い下見所というのは、馬に寄っていって撮影すると、馬が驚くことがあるので、「カメラマン・ポジション」というのが遠くにあって、そこから望遠レンズで撮れということになっていて、そこに行ってみたんだけど、猛烈な雨で、前に置いてある砂袋を越えて水が濁流のように溢れてくる。

「堤防決壊や!」

 また仰々しい声が出る。おまけに「宝塚ゼッケン馬」は全然来ない。

 諦めて、失意のなか、調教スタンドの屋根の下に戻る。もう「ずぶ濡れおじさん」そのものだ。

 そんなことで、今週水曜の写真は調教後のサトノダイヤモンドだけです。まあ幸い、古馬の場合は昔の写真がいっぱいあるので、それを枠順の早い順に出すので、それでお慰みにしてください。

[写真1]は今週撮れた唯一の馬サトノダイヤモンド。ファン投票一位も、昨年の阪神大賞典以降、凱旋門賞も含めて勝ちがない。目標キタサンブラックが引退して、もう一つ燃えるものがないのかなあ。池江調教師の会見も、もう一つ歯切れが悪かったように思える。

[写真2]は常に安定した成績は残しているものの、こちらも勝利から遠ざかっているミッキーロケット。昨年の大阪杯週の撮影だ。

[写真3]はストロングタイタン。池江調教師の会見ではサトノダイヤモンドより、むしろこちらの方が快活な喋りだった。前走鳴尾記念の走りが快心だったようだ。昨年2月の撮影だ。

[写真4]ダンビュライト 【写真:乗峯栄一】

[写真4]はダンビュライト。3走前のAJC杯の粘りは見事だった。そろそろ走りごろか。今年の大阪杯直後の撮影。

[写真5]ヴィブロスと友道調教師 【写真:乗峯栄一】

[写真5]はヴィブロスと友道調教師。2年前の秋華賞前の撮影だ。このときはマカヒキの凱旋門賞の敗因のことばかり聞いて、最後は「マカヒキのいない菊花賞では何が怖いですかねえ?」とよその馬のことで締めくくった。ほんとに失礼した。あの小柄なヴィブロスがここまで強くなるとは。

[写真6]サイモンラムセス 【写真:乗峯栄一】

[写真6]はサイモンラムセス、1000万、1600万と連勝していきなりGIだ。でも今回も逃げるだろうし、波乱を呼ぶとしたらこの馬か。16年2月の撮影だ。

[写真7]スマートレイアー 【写真:乗峯栄一】

[写真7]はスマートレイアー。得意の追い込みもきかなくなって、ちょっと苦しくなってきた感じがする。今年の春天皇賞週の撮影。

[写真8]キセキ 【写真:乗峯栄一】

[写真8]はキセキ。菊花賞のドロンコ疲れ、香港疲れからやっと解放されるころか。一雨降れば、またキセキの出番か。前走日経賞前の撮影。

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著者プロフィール

 1955年岡山県生まれ。文筆業。92年「奈良林さんのアドバイス」で「小説新潮」新人賞佳作受賞。98年「なにわ忠臣蔵伝説」で朝日新人文学賞受賞。92年より大阪スポニチで競馬コラム連載中で、そのせいで折あらば栗東トレセンに出向いている。著書に「なにわ忠臣蔵伝説」(朝日出版社)「いつかバラの花咲く馬券を」(アールズ出版)等。ブログ「乗峯栄一のトレセン・リポート」

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