W杯前年「やっとジェイミージャパンに」 ラグビー日本代表、価値ある1勝1敗
イタリア相手に快勝と惜敗
イタリアを相手に2試合連続でトライを奪った日本代表FB松島幸太朗 【築田純】
イタリアは世界ランキングこそ14位と11位の日本より格下だったが、伝統的な強豪国の「ティア1」に属し、毎年、シックスネーションズ(欧州6カ国対抗)で揉まれ、W杯では2003年大会以降4大会連続2勝を挙げている。近年も南アフリカやフィジーに勝利、今年もスコットランドに27対29と接戦を演じた。
そんなイタリアとの1試合目、チーム内MVPに輝いたSO田村優の活躍もあり4トライを重ねて34対17と快勝。2試合目は相手にリードされる展開となり、残り20分で3トライを挙げたが22対25と惜敗した。
自信を得ることができた“3つの理由”
持ち味の突破力を発揮したNo.8マフィ 【斉藤健仁】
1つ目は一貫性だ。昨年11月、遠征でトンガに勝利、フランスと引き分けたことで、日本代表のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は「いい土台が作れた。チームカルチャーが次のレベルに上がった」と手応えを口にしていた。イタリア戦の2試合のメンバーを見ても先発は昨秋と10人以上が同じで、ほぼメンバーを固定して戦っていたことがわかる。
2つ目はサンウルブズ効果だ。今年からジョセフHCは、日本代表とサンウルブズの指揮官を兼任し、強化にあたってきた。33人のうち30人はサンウルブズメンバーで、ほぼ同じコーチ陣、戦術で選手にスーパーラグビーの高い強度の経験を積ませた。またフィットネス、フィジカルのトレーニングも積極的に課した。
3つ目はジョセフHCのマネジメントだ。昨年の6月はスーパーラグビーから、そのまま代表期間に突入し、準備や選手のメンタル的な切り換えで難しい部分があった。昨年の経験を踏まえ、今年はスーパーラグビー期間中にも関わらず、主力に1週間のオフを与え、さらに宮崎で1週間の合宿を敢行。戦術の落とし込み、組織ディフェンス、セットプレーの確認、チームビルディングなどにあてて試合に臨んだ。
スクラム、ラインアウトが安定
低く構える日本代表のスクラム。自信を深めている 【斉藤健仁】
イタリア代表との2試合でマイボールスクラム成功率は12/12(1試合目10回、2試合目2回)、マイボールラインアウトの獲得率は29/31(1試合目15回、2回目16回 ※クイックスロー含む)とともに9割を超える成功率を誇った。1試合目の4トライはすべてセットプレーが起点となった。
スクラムに関してはサンウルブズから長谷川慎コーチが指導し、HO堀江翔太も「慎さんと出会ってコツコツやってきてどんどん進化している。まだまだ慎さんの中では引き出しがあるようですし、自分たちの進んでいる道は間違っていない」と胸を張った。またラインアウトはジョセフHC自らが担当し、4月のサンウルブズのニュージーランド遠征から5人、6人といったラインアウトを試す中で成功率を上げてきた。
また、アタックを担当するトニー・ブラウンコーチも快勝した1試合目は「相手にたくさんプレッシャーを与えることができた。コーチとしてやりたかったことを遂行できた。アタックシェイプ(攻撃の形)はしっかり取り組んできたので勢いのある攻撃ができた」と及第点を与えた。