夢のために7人制ラグビーで生きていく 小澤大の覚悟「東京五輪で恩返しを」
世界最高峰のワールドシリーズに再び参戦へ
セブンズ日本代表主将として、コアチーム昇格大会優勝に大きく貢献した小澤大 【斉藤健仁】
4月6日〜8日にかけて香港で行われた、F1のように世界10カ国を転戦するセブンズ(7人制ラグビー)ワールドシリーズのコアチーム昇格大会において、男子セブンズ日本代表が優勝し、コアチーム復帰を果たした。なおコアチームとはワールドシリーズ全10戦に優先的に出場できる15のチームのことを指す。
男子セブンズ日本代表と言えば、リオ五輪では予選プールでニュージーランドを撃破し、4位とメダルまであと一歩だった。だが、その後に行われたワールドシリーズは、序盤がトップリーグと重なっていたこともあり、経験あるメンバーを招集できず、降格の憂き目を見た。
今回、コアチームに昇格できなかった場合は東京五輪に向けて、世界の舞台で戦うことができず、目標とするメダル獲得が遠のくことは自明だった。そのため キャプテンの小澤大は「勝てて良かった! ホッとしたという一言ですね」と胸をなで下ろした。
2011年、流通経済大学4年時にセブンズ日本代表に選ばれてから、どちらかというと15人制よりもセブンズを主戦場として戦ってきた小澤は、世界のレベルが上がっている中で勝てた要因を「経験が大きかった」と振り返る。
「(アジアシリーズで)スリランカのような過酷な環境でも試合をやってきたし、自分たちを信じていれば負けることはないと思っていた。ワールドシリーズで(2日で)6試合を経験してきている選手も多かったので、それ(経験)が最後に出ました」
まさかの敗戦後に、選手だけでミーティング
コアチーム昇格大会で優勝した日本代表。中央で右手に優勝カップを掲げているのが小澤大 【Photo by Keith Tsuji/Getty Images】
だが、この黒星が逆にいい効果を生んだ。1日目の夜に選手たちだけでミーティングをして「自分たちのゲームプランをやり切ること、アタックもディフェンスも我慢すること」を確認した。「負ければ後がなくなったことで、ひとつのチームになれました」(小澤)
2日目、予選プールの最終戦では強敵・ウガンダに勝ち、準々決勝でもウルグアイを破り、3日目は準決勝で最大のライバルと目されていた欧州ラグビー強国のアイルランド、決勝では昨年準優勝のドイツに12対7、19対14とそれぞれ劇的な逆転勝利を収めて優勝し、来季からのコアチーム復帰を決めた。
「正直アイルランド戦は負けたかなと思いましたが(苦笑)、粘り勝てました。今年上がれなかったら来年はもっと厳しい戦いになったはずなので、昇格できて良かった。コアチーム入りしたことで(7月の)ワールドカップ、2020年の東京五輪につながってくる。世界と戦えるスタートラインに立てました」(小澤)
4月からセブンズ専任契約選手に
セブンズ経験が豊富な小澤が、2人目の専任契約選手となった 【写真:Haruhiko Otsuka/アフロ】
リオ五輪では直前で出場を逃した小澤は、その悔しさをバネに「今度こそ五輪に出たい!」と、トップリーガーながら会社の理解もありセブンズを優先してきた。そして今年から「両立するよりもセブンズ1本にした方が、もし五輪メンバーから落選したとしても悔いは残らないし、全力を出せる」とセブンズで勝負する決意を固めた。