世界的トライゲッターに成長した福岡堅樹 イタリア戦の快勝を「W杯につなげる」

斉藤健仁

強豪・イタリア代表に34対17で快勝

イタリア戦でトライを奪い、祝福される福岡(中央) 【斉藤健仁】

 日本が世界に誇る韋駄天が自慢の快足を見せつけた。

 6月9日、2019年ラグビーワールドカップ(W杯)まで500日を切った中で、ラグビー日本代表は大分銀行ドームで、イタリア代表と対戦した。イタリア代表と言えば、世界ランキングこそ日本代表の11位より下の14位だが、欧州のシックスネーションズ(6カ国対抗)の一角で、世界強豪10カ国の「ティア1」に分類される強豪で、過去の対戦移籍は1勝5敗だった。

「アッズーリ」ことイタリア代表に対して「ブレイブブロッサムズ(勇敢な桜の戦士)」は4トライを挙げて34対17で快勝。この試合で11番をつけて先発し、大分のピッチで躍動したのはWTB福岡堅樹だった。

 福岡といえばラグビーW杯とオリンピックの両大会に唯一出場した選手として知られる。そして2019年W杯で15人制を、2020年東京五輪ではセブンズに再挑戦し、ラグビーキャリアを終えて、医師になるために医学部に進学する予定だ。そんな福岡にとってこのイタリア代表戦は、今年最初から「ターゲットにしてきた」試合だった。

W杯までを逆算し、2月に手術

手術を経て練習に復帰。日本代表にとって大事な時期を「100%の状態」で迎えた 【斉藤健仁】

 昨年はサンウルブズでチーム内MVPを獲得するなど充実したシーズンを送っていた福岡だが、昨年11月のフランス代表戦で右肩を痛め、さらにパナソニックの一員として出場した年末のトップリーグのヤマハ発動機戦では右膝を負傷。年明けの日本選手権は、だましだましで試合に出ていたが高いパフォーマンスを発揮することはできなかった。

 1月末、サンウルブズの大分・別府合宿に3日間参加し、ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)とも相談し、2月に入るとすぐに右膝を手術した。「WTBは100%が出せるかどうかがパフォーマンスに関わってくるので引きずりたくなかった。右膝は過去にもオペをしていたこともあって比較的慢性的な状態でした。2019年W杯まで逆算し、ここからの大事な試合を踏まえると、時間がとれる、治すタイミングはここしかなかった」

欧州の最優秀選手候補を圧倒

欧州の最優秀選手候補を抜いて独走トライを決める 【斉藤健仁】

 何と言っても圧巻だったのはイタリア戦、前半28分のこと。自陣のスクラムから右、左とボールを動かし、No.8アマナキ・レレィ・マフィ、CTBウィリアム・トゥポウがオフロードパスをつなぎ、左ライン際でボールを受け取った福岡は自陣10mライン後方から60mを走り切ってトライスコアラーとなりチームに勢いをもたらした。

 ステップで相手2人をかわした後、今年のシックネーションズで最優秀選手候補にもなったFBマッテーオ・ミノッティと1対1になった福岡は冷静沈着だった。「相手がどういう形でくるか様子を見たら内側を気にするような動きをしていたので、外がチャンスかなと思った。考えることなく純粋に自分のスピードに自信を持って勝負した」

 タッチラインから5mのエリアで、自身の武器としているスピードでスワーブを切って、しかも相手の快足BKに触らせないで独走トライを決めた。まさしく世界的トライゲッターであることを証明した。「あれくらいあればいけるスペースでした。このレベルではなかなかトライが取れないので良かった。気持ち良かった」(福岡)

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著者プロフィール

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)、「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「ラグビー語辞典」(誠文堂新光社)、「はじめてでもよく分かるラグビー観戦入門」(海竜社)など著書多数。

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