ロシアW杯で適用される3つの新ルール テクノロジー導入で采配革命が起こる
W杯ロシア大会ではVARをはじめとした、3つの新しいルールが導入されることが決まっている 【写真:ロイター/アフロ】
(1)ビデオ判定
(2)延長戦における4人目の交代
(3)戦術的な目的で電子機器を使用可能に
VARは正しい判定を探すためのシステムではない
VARは試合結果に重大な影響を与える、明らかな間違いと見逃しに対して使用されるシステムである 【写真:ロイター/アフロ】
FIFA(国際サッカー連盟)によれば、VARはビデオ判定の対象場面(得点、PK、一発退場、選手誤認)における判定の正確性を、93%から98.8%に高めたとのこと。それに伴うプレー時間のロスは、1試合平均55秒。これは空費された時間として、アディショナルタイムに含められる。
導入した際の重要なポイントは、VARの目的を理解することだ。これは決して、正しい判定を探すためのシステムではない。試合結果に重大な影響を与える、“明らかな間違いと見逃し”に対して使用されるものだ。例えば、7:3でエキスパートの意見が分かれるような場面は、ビデオ判定の対象として適当ではない。フットボールはそもそも主観的なスポーツだ。ビデオ判定を濫用すれば、より大きな混乱と、試合の停滞を引き起こす。
この考え方はレフェリーのVARトレーニングでも重要項目とされており、同時にファンや選手、監督を含めて理解されれば、ロシアW杯でもスムーズな運用が可能になるだろう。
交代枠の追加がもたらすポジティブな変化
追加交代枠があることで、アグレッシブに攻め手を尽くすチームが増えることが予想される 【写真:ロイター/アフロ】
これは選手の安全と負傷に対する配慮、さらにPK戦にもつれる試合を減らす意味でも、有効な改革と言える。90分で3人の交代=30分あたり1人の交代枠、と考えるなら、延長の30分で4人目の交代を認めるのは、極めて合理的なアイデアだ。また、延長戦の追加交代枠があることで、監督としても90分間で3人の交代枠を使い切り、アグレッシブに攻め手を尽くすチームが増えることも予想される。
とかく昨今のW杯は決勝トーナメントに入ると、動きの少ない試合が増えがちだった。このルール改正は、ポジティブな変化をもたらすだろう。