- 斉藤健仁
- 2018年3月28日(水) 11:10
「ラグビー人生で一番きつい1カ月だった」

スーパーラグビー参入3年目、日本を本拠地するサンウルブズが苦しんでいる。今年は期待が大きかっただけに開幕5連敗はショッキングだった。
2018年のサンウルブズは、ラグビー日本代表のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)が指揮官を兼任、スコッドも数人以外はすでに代表経験者か、2019年ワールドカップまでに代表資格を得ることができる選手で構成されている。ジョセフHCの要望で、トップリーグを1月15日に終え、他のチームよりは短いが、過去2年よりも1週間ほど早くプレシーズンに移行できた。
スーパーラグビーで優勝経験のある指揮官は1日3〜4部練習を敢行、選手たちに戦術を落とし込むと同時に、厳しい舞台で戦う身体を鍛えるためのトレーニングを行った。そして、チームの一体感を増すため自衛隊でのキャンプも実施した。
ジョセフHCの本気度が十二分に伝わってきたプレシーズン合宿で、一部の選手からも「エディー・ジャパン時代よりきつい」、「ラグビー人生で一番きつい1カ月だった」という声が聞こえたほどだった。
第1戦は7点差、第4戦は2点差と健闘するも…

指揮官は日本代表やトップリーグの試合に出続けている選手を最初に休ませることも考えていたようだが、サンウルブズは2月から4月にかけてホームの試合が多く(他チームが6〜7月に暑い日本で試合をやりたくなかったようだ)、6月にテストマッチを控える日本代表選手は5月に休ませる方針で、開幕から「ベストメンバー」(ジョセフHC)で臨んだ。
しかし、勝てなかった。2月24日のオープニングマッチのブランビーズ(オーストラリア)戦は十分、勝機はあったが、途中で出たケガ人が響き25対32で惜敗。昨年はアウェイで7対94と大敗した2年連続準優勝のライオンズ(南アフリカ)戦も38対40であと一歩という内容で敗れるなど、5連敗となってしまった。
大きな問題は組織ディフェンス

サンウルブズの5試合のスタッツを見てみたい。ジョセフHC自ら指導しているラインアウトの成功率は最下位の76.8%で、過去2年とあまり変わらず大きな課題のままだ。相手にしっかりと分析されている影響もあろう。
一方でスクラムの成功率は93%でリーグ3位、ボールキャリア数もリーグ4位の544回、ゲインメーターと相手のタックルを破った回数は2111mと112回でリーグ6位。5試合の平均トライ数も1試合3トライ(総得点は112点)と過去2年間よりやや多く、アタッキングチームと自負するサンウルブズの攻撃はある程度通用している。
ただ大きな問題はやはり組織ディフェンスとトライの取られ方にある。プレシーズンのハードトレーニングも功を奏し、1年目、2年目は約80%と1年目はワースト、2年目は16位タイと低かったタックル成功率は83.8%とやや上昇し、15チーム中6位につけている。
だが220失点はワーストで、失トライは1試合平均6.6と過去2年間(1年目は5.87、2年目は6.4)よりも悪い。
開幕前、昨年のサンウルブズは「3フェイズ以内に72%のトライを取られていた」とジョセフHCが言っていたが、今年の直近の2試合もラインアウトやスクラムといったセットプレーから2フェイズ以内に淡泊なトライを許しており、残念ながら、その傾向は改善されていない。
またチーフス戦の前に、トニー・ブラウンコーチがこうも語っていた。「スタッツ自体が良くなっているが、結果がついてこないのが残念だ。簡単にトライを取られているのに、トライを取るのに労力がかかっている。オールブラックスのように1〜2フェイズでしっかりトライが取れて、ディフェンス力があるのがいいチームです」