サンウルブズ、3年目は惜敗スタート 「勝って雪だるま式に」成長なるか?

斉藤健仁

今季初戦はオーストラリアの強豪に敗れる

前半18分にトライを奪ったCTBラファエレ ティモシー。日本代表としても活躍している 【斉藤健仁】

“日出ずる国の狼”は勝てなかった。だが、4週間、丹念に牙と爪を研いできた成果を発揮し、今後への期待を十分に感じさせる試合となった。

 2月24日、スーパーラグビー参入3年目のサンウルブズは、東京・秩父宮ラグビー場で開幕戦を迎えた。相手は優勝2回を誇る昨年のオーストラリアカンファレンス1位の強豪ブランビーズだった。

 今年からラグビー日本代表のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)&トニー・ブラウンコーチらがサンウルブズも兼任し、46人中39人が2019年のワールドカップで日本代表として出場可能な布陣となり、新しい船出となったサンウルブズは過去2季で3勝ながらも「5位以上」と大きな目標を掲げた。

 一方でリーグは18から15チームに削減、各チームの競争力が増す中で、サンウルブズは南アフリカカンファレンス1からオーストラリアカンファレンス所属へと移り、東京で行われるホーム6試合は相手に関係なく、何としても勝利したいところだった。

日本代表の戦術を軸に前半をリード

165cmと小柄な流(左から4人目)が共同主将の一人としてチームを引っ張っている 【斉藤健仁】

「アタッキングマインドを持って臨んだ」と共同キャプテンの一人、SH流大(ながれ・ゆたか)が振り返ったように、サンウルブズは自陣22mの外からは積極的にボールを展開する。

「相手もどういったラグビーをするかわからなかった」というコーチ陣の指示もあり、昨年11月、日本代表が取り入れたアタック戦術、変形「3ポッド」をそのまま踏襲。HO堀江、No.8ブリッツを常に近場で走らせつつ、大外のWTBホセア・サウマキ、WTBレメキ ロマノ ラヴァという2人のパワフルランナーにボールを集める策が当たった。

 結果、前半は19対15とリードして折り返した。アタックは及第点を与えてもいい内容だったが、それを下支えしたのはスクラム、ラインアウトだった。セットプレーの強いブランビーズに互角に戦えたのは、1月末の別府合宿からハードなトレーニングで鍛え上げてきた証だ。

課題だったスクラム、モールで強豪を押し込む

課題だったスクラムではブランビーズを押し込む場面も 【斉藤健仁】

 セットプレーは過去2年、サンウルブズの大きな課題となっていた。ただ今年は1週間早く合宿をスタートすることができ、FW、BKともにユニット練習の時間を確保。長谷川慎スクラムコーチは「(過去2年は)トレーニング期間がなく、試合しかなかったが、今年はしっかりと落とし込んでレビューできているのが大きい。モールも楽しみにしておいてください!」と自信をのぞかせていた。

 ジョセフHC自ら指導していたモールの成果がいきなり出る。前半8分、サンウルブズはゴール前のラインアウトからモールを形成し、最後はBKも3人ほど加わり、WTBサウマキが押さえて7対3と逆転に成功。「モールに加わることがベストと判断して入った。チームワークのトライでした!」(サウマキ)

 さらにスクラムが強いと評判の高かったブランビーズに対しても、サンウルブズは低く一体となったスクラムで互角以上に組み合って生きたボールBKに供給し、18分にはCTBラファエレ ティモシー、28分にはWTBサウマキがトライスコアラーとなった。

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著者プロフィール

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)、「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「ラグビー語辞典」(誠文堂新光社)、「はじめてでもよく分かるラグビー観戦入門」(海竜社)など著書多数。

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